「BTC Yield」導入で保有効率を重視、年初来 + 709.8%を達成
ユーロネクスト・パリ上場のテクノロジー企業で、データインテリジェンスやAI、分散型技術開発を手掛ける「The Blockchain Group(ザ・ブロックチェーングループ)」は26日、ビットコインを580枚追加購入した。
一気に580 BTCを買い増したとは、まことに景気のよい話だ。しかし、これが単に暗号資産(仮想通貨)バブルに乗っただけかといえば、実はそうではない。なぜなら、この会社は以前から増資や社債発行のしくみを整え、ビットコインを長期保有(いわゆる“ガチホ”)する「Bitcoin Treasury Company(ビットコイントレジャリーカンパニー)」たらんとする、明確な意志を持っていたからである。要するに、データインテリジェンスやAI、分散型技術を本業としながら、財務のコアにビットコインを据える意思があるのだ。これは、いわば米「Strategy(ストラテジー)」の欧州版ともいえる戦略である。
同社は100%子会社「The Blockchain Group Luxembourg SA(ザ・ブロックチェーングループ・ルクセンブルク株式会社)」を通じて、2024年11月に最初の15 BTC、12月にさらに25 BTCを取得。今回の580 BTC取得により、総保有量は620 BTCとなった。3月初旬には転換社債で約4,730万ユーロを調達し、その大半をビットコインの購入に充てている。仮想通貨は乱高下が激しいためリスキーと見られがちだが、長期を見据えた戦略であればリスクを抑えながら投資することは十分に可能だ。もしビットコインが今後成長すれば、企業価値も株価も同時に上昇する可能性がある。
ビットコインにはブロック報酬の半減周期や、2,100万枚という発行上限など複雑なしくみがあるが、本質的な論点は「信用をどこに置くか」ということに尽きる。法定通貨は各国の中央銀行への信用で成り立っているが、ビットコインはアルゴリズムとネットワークによって担保される分散型記帳に信用基盤を持つ。日本では、法定通貨(円)支持派とビットコイン支持派の双方が、相手のことを「たぬき村のお札」呼ばわりしているのは興味深い。
ブロックチェーングループの興味深い点は、「BTC Yield」という指標を導入しているところである。これは一株当たりのビットコイン保有量を測り、それを拡大していく方針を明確にする指標だ。今回の大口買い付けによって、「BTC Yield」は年初から + 709.8%という驚異的な伸び率を示した。同指標は投資家にも好評であるうえ、欧州初の「ビットコイントレジャリーカンパニー」を名乗り、しかも金融規制が厳しいフランスで上場しているという事実が、業界全体からの注目を集めている。
ブロックチェーンやAIなどの分散技術は、もはや止められない潮流である。その中心にビットコインを据えることも、一つの有効な選択肢だろう。このビッグウェーブにうまく乗りながら自社のポジションを拡大するブロックチェーングループの姿勢は理解できる。580 BTCもの大口購入も、決して無謀な賭けとは思えない。
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