米NYSEアメリカン上場の暗号資産(仮想通貨)投資企業BitMine (ビットマイン:BMNR)は22日、3億6,524万ドル(約540億)の資金調達完了と、イーサリアム(ETH)保有量が全供給量の2%を突破したことを同時発表した。同社は現在241万6,054ETHを保有し、暗号資産・現金・その他投資を合わせた総資産が114億ドル(約1兆6,860億円)に達している。
大型調達とETH拡大戦略の詳細
資金調達の内容
ビットマインは機関投資家との間で1株70ドルでの普通株522万株発行に合意した。この価格は9月19日終値(61.29ドル)に対し14%のプレミアムとなる。さらに行使価格87.5ドルの新株予約権1,043万個も発行し、全行使時には追加で9億1,300万ドル(1,350億円)の調達が可能となる。
調達資金の主要用途はETH保有量の更なる拡大で、同社会長トーマス・リー氏は「14%のプレミアム価格での株式発行は既存株主にとって価値創造的で、調達資金は主にETH保有量増加に充当する」と説明している。
ETH保有量と市場地位
9月21日午後4時時点での同社保有資産は以下の通り:
- イーサリアム(ETH):241万6,054ETH(1ETHあたり4,497ドル)
- ビットコイン(BTC):192BTC
- 現金:3億4,500万ドル
- その他投資:1億7,500万ドル相当(エイトコ・ホールディングス株式等)
ETH保有量では世界最大のイーサリアム・トレジャリー企業として、全供給量の2%を超える規模に到達。仮想通貨企業全体では、638万460BTCを保有するストラテジー(旧マイクロストラテジー:MSTR)に次ぐ世界第2位の規模となっている。
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「5%の錬金術」戦略
リー氏は同社の長期戦略を「Alchemy of 5%(5%の錬金術)」と称し、最終的にETH総供給量の5%獲得を目指すと表明。8月にETH保有量が1%に達した際の同社株価が38ドル(20日移動平均)だったのに対し、2%突破時点では61ドルを超え、保有量拡大と株価上昇の相関関係を強調している。
同社はウォール街のブロックチェーン参入とAI・エージェントAIによるトークンエコノミー形成が「イーサリアムのスーパーサイクル」を創出するとの見解を示し、大口保有者に有利なパワーロー効果によるメリットを追求する戦略を掲げている。
高い流動性と投資家支援
ビットマインは現在米国で24番目に取引の活発な銘柄となり、日平均売買代金は35億ドル(5日平均)を記録。オープンドア・テクノロジーズ(23位)を下回り、イーライリリー(25位)を上回る高い流動性を維持している。
同社にはARKのキャシー・ウッド氏、ファウンダーズ・ファンド、パンテラ・キャピタル、クラーケン、ギャラクシー・デジタルなど著名機関投資家が出資しており、ETH 5%獲得戦略への支持を表明している。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.927円)