ビットコイン10万ドル攻防、マクロ楽観論とテクニカル警戒論が交錯──週足103,000ドルが生命線

伊藤 将史
12 Min Read
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Highlights
  • BTC10万ドル近辺で調整、マクロ派は「政府閉鎖解除後に2,500億~3,500億ドルの流動性供給」と楽観
  • テクニカル派は週足50SMA(103,000ドル)を「ブルマーケット・サポート」と警戒、終値維持が焦点
  • RSIダイバージェンス形成で94,100ドルまで「最終下落」予測も、マクロ派は押し目買い好機と主張

マクロ視点の楽観論と、テクニカルの警戒論が交差

10月初旬に史上最高値を更新後、調整局面に入り11月5日時点では10万ドル近辺まで下落したビットコインに対し、市場ではマクロ経済の楽観論と、短期的なテクニカル分析の警戒論が交錯している。

マクロ分析では「流動性の洪水が目前」

マクロ経済アナリストのラウル・パルは5日、「『Window of Pain(苦痛の窓)』を抜ければ、大規模な『Liquidity Flood(流動性の洪水)』」が待っているとの見解を示した。

同氏は、暗号資産(仮想通貨)市場の現在の低迷は、米政府の閉鎖に伴う一時的な流動性逼迫が原因であると分析。政府は支出ができずTGA(財務省一般口座)に資金が積み上がる一方で、リバースレポは枯渇し、QT(量的引き締め)がさらに流動性を奪っていると指摘した。

しかし、政府閉鎖が解除され次第、財務省は数ヶ月で2,500億から3,500億ドル規模の支出を再開し、QTも終了するため、市場に大規模な流動性が供給されると予測。さらに、CLARITY法案の成立による銀行の大規模な市場参入や、2026年の中間選挙に向けた景気刺激策なども重なり、市場は上昇に転じると主張した。

同氏は、自身が示すGMI流動性インデックスが上昇すれば「すべての数字が上昇する」とし、ブルマーケットにおける押し目買いの好機であると結論付けた。

103,000ドルがブルマーケットの生命線

一方で、テクニカルアナリストらは、ビットコインが短期的に重要なサポートラインを試していると指摘している。

アナリストのケビン・スベンソンは5日、週足チャートにおける50週単純移動平均線(50 SMA)に着目。同氏が「ブルマーケット・サポート」と呼ぶこのライン(約103,000ドル=約1,580万円)は、トレンドを維持するために最低限守るべき水準であると指摘する。

同氏のチャートによると、現在のサイクルにおいて、価格がこの50SMAを週足の実体で下回る「ウィック(下ヒゲ)」を付けるのは今回で3度目となる。

スベンソン氏は、「トレンドの健全性を確認するためには、週足の終値がこの103,000ドルを上回ることが必要」だと分析している。

94,100ドルへの最終下落も視野か

一方、アナリストのTARA氏は5日、より深い調整が行われる可能性があるとの見解を述べた。

同氏は、高値圏のタイムフレームにおいて、RSI(相対力指数)がまだ「強気のダイバージェンス」を形成していない点に注目。

このRSIダイバージェンスを形成するため、価格は一時的に103,400ドル(約1,587万円)近辺まで反発した後、94,100ドル(約1,444万円)近辺まで「最後の下落」を迎え、そこで大底を確認するとの予測を示した。

マクロ的な流動性の転換点を待つか、短期的なテクニカルのサポートラインを注視するか、投資家の判断が試される局面となっている。

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価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=153.49円)

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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