マクロ視点の楽観論と、テクニカルの警戒論が交差
10月初旬に史上最高値を更新後、調整局面に入り11月5日時点では10万ドル近辺まで下落したビットコインに対し、市場ではマクロ経済の楽観論と、短期的なテクニカル分析の警戒論が交錯している。
マクロ分析では「流動性の洪水が目前」
マクロ経済アナリストのラウル・パルは5日、「『Window of Pain(苦痛の窓)』を抜ければ、大規模な『Liquidity Flood(流動性の洪水)』」が待っているとの見解を示した。
同氏は、暗号資産(仮想通貨)市場の現在の低迷は、米政府の閉鎖に伴う一時的な流動性逼迫が原因であると分析。政府は支出ができずTGA(財務省一般口座)に資金が積み上がる一方で、リバースレポは枯渇し、QT(量的引き締め)がさらに流動性を奪っていると指摘した。
しかし、政府閉鎖が解除され次第、財務省は数ヶ月で2,500億から3,500億ドル規模の支出を再開し、QTも終了するため、市場に大規模な流動性が供給されると予測。さらに、CLARITY法案の成立による銀行の大規模な市場参入や、2026年の中間選挙に向けた景気刺激策なども重なり、市場は上昇に転じると主張した。
同氏は、自身が示すGMI流動性インデックスが上昇すれば「すべての数字が上昇する」とし、ブルマーケットにおける押し目買いの好機であると結論付けた。
103,000ドルがブルマーケットの生命線
一方で、テクニカルアナリストらは、ビットコインが短期的に重要なサポートラインを試していると指摘している。
アナリストのケビン・スベンソンは5日、週足チャートにおける50週単純移動平均線(50 SMA)に着目。同氏が「ブルマーケット・サポート」と呼ぶこのライン(約103,000ドル=約1,580万円)は、トレンドを維持するために最低限守るべき水準であると指摘する。
同氏のチャートによると、現在のサイクルにおいて、価格がこの50SMAを週足の実体で下回る「ウィック(下ヒゲ)」を付けるのは今回で3度目となる。
スベンソン氏は、「トレンドの健全性を確認するためには、週足の終値がこの103,000ドルを上回ることが必要」だと分析している。
94,100ドルへの最終下落も視野か
一方、アナリストのTARA氏は5日、より深い調整が行われる可能性があるとの見解を述べた。
同氏は、高値圏のタイムフレームにおいて、RSI(相対力指数)がまだ「強気のダイバージェンス」を形成していない点に注目。
このRSIダイバージェンスを形成するため、価格は一時的に103,400ドル(約1,587万円)近辺まで反発した後、94,100ドル(約1,444万円)近辺まで「最後の下落」を迎え、そこで大底を確認するとの予測を示した。
マクロ的な流動性の転換点を待つか、短期的なテクニカルのサポートラインを注視するか、投資家の判断が試される局面となっている。
関連:ビットコイン下落──FRB利下げ不透明感とMEXCの信用問題で懸念拡大
関連:リップル、急落後反発するも下落優勢──2.2ドル割れで1.9ドルが視野【仮想通貨チャート分析】XRP、BTC、ETH、SOL
価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=153.49円)




