ビットコイン、9万ドル台を回復──12月利下げ期待84.9%が後押し

永田ヒロタカ
11 Min Read
Highlights
  • ビットコインは9万ドル台を回復。27日午後2時時点で9万1,000ドル台を推移
  • ベージュブックは米雇用減速と物価の緩やかな上昇を報告
  • JPモルガンは利下げ実施予想を1月から12月に前倒し

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは、節目となる9万ドル台を上抜けて9万1,000ドル台(27日午後2時時点)を推移。米連邦準備理事会(FRB)が26日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)を受けて、市場の12月利下げ期待が高まったことが要因として考えられる。

2025年11月27日のビットコイン(BTCUSD)の1時間足チャート
ビットコイン価格チャート(対米ドル) 出典:TradingView

25日に8万9,000ドル台の高値を付けてからは方向感のない動きが続いていたが、27日のニューヨーク市場で一気に値を伸ばして9万ドルを更新。今後の動きとしては、9万ドル台での底固めを図りつつも、次なる節目となる9万3,000ドル台を見据えた動きが出てくるだろう。

ビットコイン価格上昇は12月利下げ期待の高まりに起因するものとみられている。市場が政策金利を変更する確率についてどのように見ているかを確認できる「CMEのFedWatchツール」によると、11月27日時点で84.9%の市場参加者が12月のFOMCで利下げが実施されると予想している。

すでに12月利下げの実施が織り込まれた相場になっているとみるべきであり、裏を返せば利下げを見送る材料が発表されると急落する可能性が高いということでもあるため、注意深くみていきたい。

ベージュブックは雇用減速と物価の緩やかな上昇を報告

27日、FRBはベージュブックにて「経済活動は大半の地区で10月報告からほぼ変化がなかった」と報告。さらに12地区のうち約半数で雇用の弱まりと個人消費の減少がみられ、物価の緩やかな上昇も指摘している。一部は今後数か月で経済活動が鈍化するリスクが高まっていると指摘したが、一方で製造業者からは楽観的な見方も示された。

ベージュブックとは、米国にある12の地区の連邦準備銀行がそれぞれ管轄する地区の経済状況をまとめた「地区連銀経済報告」のことであり、表紙がベージュ色であることからベージュブックと呼ばれている。毎月作成されており、今回は11月17日までに収集された情報に基づいてダラス地区連銀が作成した。

報告では「雇用はやや減少し、約半数の地区で労働需要の弱まりが指摘」された。「解雇の発表は増加傾向にあるものの、採用凍結や欠員のみの補充、自然減で調整しているとの報告が多くの地区から寄せられた」という。

市場では、報告内容は12月利下げ期待を高めるという見方が広がっており、ビットコインを押し上げる要因になったと考えるべきだろう。

JPモルガン、1月から12月に利下げ実施予想を前倒し

JPモルガン・チェースのエコノミストは、FRBが12月に利下げをするとの見通しを公表。先週は、遅れて発表された9月雇用統計の結果を受けて「12月金利据え置き・1月利下げ実施」と予想していた。

米国チーフエコノミストのマイケル・フェローリ氏が率いるチームは「ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁をはじめFRB高官から早期利下げを支持する発言が相次いだことが判断を改める要因になった」と、従来の予想を覆した経緯を説明している。

JPモルガンは「FRBが12月と来年1月にそれぞれ0.25ポイントの利下げを実施する」と予想しており、米大手金融機関の予想もビットコイン価格の上昇に影響を与えているようだ。

関連:ビットコイン、8万7,000ドル台で安値切り上げ──米経済指標悪化で利下げ期待、株高も後押し
関連:ビットコイン、8万8,000ドル台を推移──FRB高官のハト派的発言がリスク資産を後押し

仮想通貨の最新情報を逃さない!GoogleニュースでJinaCoinをフォロー!

JinaCoinメルマガ開始
Share This Article
金融ジャンルを得意とするWebライター。投資歴は「FX10年」「株6年」「暗号資産3年」。テクニカルとファンダメンタルズの両面から相場を分析することで、中長期の安定したトレードが得意。保有資格:ファイナンシャルプランナー2級・AFP
コメントはまだありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA

厳選・注目記事

YouTube

その他のニュース

イーサリアム、「より的を絞った、一様ではない」成長へ──ヴィタリック氏が描く効率重視の手数料構想

イーサリアム(ETH)の共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏は26日、次年度のイーサリアムネットワークの成長戦略について公式Xで言及した。投稿内でブテリン氏は、イーサリアムは引き続き成長していくとする一…