暗号資産(仮想通貨)のビットコインは8万8,000ドル台(25日13時時点)を推移しており、先週金曜日(21日)に8万ドル台の安値を付けてからは、一転して上昇トレンドを形成している。

21日に始まったビットコインの価格上昇は24日まで継続。8万8,000ドル超えに挑戦するも壁が厚く、そこから8万5,000ドル台まで押し返された。
しかし、FRB高官による12月利下げを支持するコメントが相次いだことで、株や暗号資産などのリスク資産に投資をする動きが再び活発化。ビットコインは2回目の挑戦で直近高値越えとなる8万9,000ドルまで上値を伸ばしており、依然として上昇トレンドを継続した形だ。
8万8,000ドルを突破したビットコインが次の目標とするのは9万ドル台となる。しかし、上値が重たく伸び悩んでいるのも事実であるため、明確に更新するためには強い材料が必要だ。本日は遅れていた9月小売売上高などの重要経済指標の発表も控えているため、12月利下げを後押しする内容になれば9万ドル台復帰を狙う動きも期待できるだろう。
FRB高官は12月利下げを支持する発言
米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は21日、「金融政策は最近の一連の措置以前と比べればいくぶん緩和的になったものの、依然としてやや景気抑制的だとみている」と指摘。続けて「そのため、政策スタンスを中立に近づけ、2つの使命のバランスを保つために、短期的にはフェデラルファンド金利の誘導目標レンジをさらに調整する余地がある」と利下げを行う余地があるとの見方を示した。
また、米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は24日、「二大責務という観点から見ると、主に労働市場を懸念している。次回の会合では利下げを支持する」と述べ、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)では利下げを支持する考えを示している。
さらに、米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁も24日、「労働市場について、先手を打てるという確信が持てない」とFRBの対応が後手に回るリスクを懸念。雇用市場の悪化懸念を背景に12月FOMCでの利下げを支持すると、米誌ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に24日掲載のインタビューで語っている。
いずれも利下げを支持する発言となったことがビットコインを押し上げる要因となった。
市場参加者の80.9%が12月の利下げ実施を予想
市場が政策金利を変更する確率についてどのように見ているかを確認できる「CMEのFedWatchツール」によると11月24日の時点で、80.9%の参加者が12月のFOMCで利下げが実施されると予想している。

先週17日には「利下げ実施:42.4%」「現状維持:57.6%」と拮抗していたが、FRB高官のハト派的発言を受けたことで、12月FOMCで利下げが行われるとする公算が高まった。
現在のビットコインは利下げが織り込まれた価格で推移しているとみるべきだろう。現状維持を匂わせる経済指標や発言があれば簡単に下落していくことも予想されるため、FRB高官の発言には引き続き警戒しながら取引をしていきたい。
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