暗号資産(仮想通貨)市場は依然としてリスクオフを継続。延期されていた11月米雇用統計が12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)開催後まで先送りになったことに加えて、公表された10月FOMC議事要旨で12月利下げに否定的な姿勢が多かったことが要因とみられる。
ビットコインは20日早朝に一時8万8,497ドルを付け、18日に付けた直近安値8万9,189ドルを更新。しかし、その後はすぐに持ち直しており、現在は9万2,000ドル台を推移している。

レンジ相場となるか下落トレンドを継続するかどうかは、8万8,000ドルから8万9,000ドルでの底値形成が成功するかがカギを握っている。仮に下落を継続する場合、次の抵抗線となるのは8万ドル、さらに今年の最安値となる7万4,434ドルも視野に入ってくる。
12月のFOMC(9日-10日)が開催されるまでは積極的な動きは取らず、8万8,000ドルから94,000ドルにかけたレンジ相場になると考えられるが、開催日が近づいてくるとポジションを精算する流れが活発になる可能性もあるため注意が必要だ。
米労働省は10月雇用統計の公表中止、11月分は12月16日を予定
19日、米労働省労働統計局(BLS)は10月の雇用統計は公表できないことを明らかにした。これは10月の失業率が判明しないことを意味するが、同月の非農業部門雇用者数については11月のデータと合わせて公表するとしている。
また、11月分の雇用統計については、家計および事業所調査データの収集期間を延期して追加の処理時間を設けるために、当初予定していた12月5日から16日に延期された。
当初はFOMC前に発表されることが期待されていたため、FOMC後の発表になるということで失望が広がり、ビットコイン価格を押し下げる原因になったと思われる。
なお本日は政府封鎖のために遅れていた9月の雇用統計を発表する予定だ。
FOMC議事要旨では多くの当局者が12月利下げに否定的
19日に公表されたFOMC議事要旨(10月28日-29日に開催分)によると、多くの当局者が年内は政策金利の据え置きが適切となる可能性が高いとの意見を示していることが分かった。
議事要旨は「多くの参加者は自身の経済見通しに基づけば、年内は目標レンジを据え置くことが適切になる公算が大きいとの立場を示唆した」と記しているが、一方で幾人かの参加者は次回会合までに「経済が予想通りに推移すれば、(12月の利下げは)十分に適切となり得る」と利下げの可能性についても言及している。
ただし、マーケットは11月雇用統計の発表延期とFOMC議事要旨の内容から、今年中の追加利下げは無いとの見方を強めている。市場が政策金利を変更する確率についてどのように見ているかを確認できる「CMEのFedWatchツール」によると、1週間前は3.50%-3.75%への利下げ想定が63.9%もあったのに対して、現在は29.6%まで下落。7割近くが現状維持と考えており、現在のマーケットは既に政策金利の据え置きを織り込んだ価格として判断しておくべきだろう。
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