9日、米上院は政府機関の再開に向けた法案が一つ前進した。なお米政府機関は40日を超える過去最長の閉鎖に突入しており、連邦職員の業務中断・食糧支援の遅れ・航空交通の混乱などの問題が発生している。
関係者によると、共和党は党指導部に反対した一部の民主党議員との合意に基づき、争点となってきた医療保険制度改革法(通称、オバマケア)に基づく補助金延長に関する採決を12月に行うことに同意。法案を前進させるための採決において、通過に最低限必要となる60票を獲得した。
なお成立に向けては下院での可決とトランプ大統領の署名という2つのプロセスを経る必要がある。スムーズに事が運んだとしても数日はかかる可能性があるため、直ちに政府機関の再開とはならない。
ただし、進展がなかった状況から一歩前進したことで、マーケットではリスクオンの動きが進んでいる。
トランプ大統領の関税配当発言もビットコインを後押し
トランプ大統領は自身のSNS(Truth Social)にて「(関税は米国に)数兆ドルの収益を生み出しており、まもなく37兆ドルという巨額の債務の返済に充てられる」「一人当たり少なくとも2,000ドル(高所得者を除く)の配当が、すべての人に支払われるだろう」と発言。ビットコイン価格が小幅に上昇する一因となった。
ただし、税制シンクタンクTax Foundationの連邦税政策担当副社長を務めるエリカ・ヨーク氏は「所得制限を10万ドル(約1,540万円)とすると、1億5,000万の成人が対象となり、費用は約3,000億ドルに達する」「子どもも対象となれば費用は増加。問題は新たな関税で調達できたのは1,200億ドルしかないことだ」と指摘。
実現すれば暗号資産(仮想通貨)をはじめとするマーケットにも資金が流入する可能性があり、価格上昇につながる可能性がある。しかし、現実味を帯びていないことからマーケットは小幅の反応となった。
ビットコインは節目となる104,000ドル台を上抜け

ビットコインは上値の目安となる104,000ドル台を抜けて、106,000ドル台で推移。明確にレンジ相場を抜けてくる形となり、継続していた下落にひとまず目途が付いた形だ。
今後の展開としてはレジスタンスラインとして機能してきた上値の104,000ドル台がサポートとして機能しながら上値を探る動きが続くと思われる。ただし、材料が乏しい中ですぐに強い上昇が発生するとは考えにくいので、しばらくは方向感を探るような動きが継続するだろう。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=154.02円)




