米中合意で株高・円安も、ビットコインは下落──144億ドルのオプション満期警戒

永田ヒロタカ
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

トランプ大統領と習近平国家主席は30日に韓国で首脳会談を行い、両国間の貿易対立を緩和する方向で合意した。

合意した内容としては、中国側は「レアアース(希土類)と磁石の新たな規制を1年間凍結」「米国産の大豆購入を再開」、米国側は「フェンタニル原料の関税を20%から10%に半減」「米国製ハイテク製品の輸出禁止拡大阻止を1年間凍結」「新たな港湾使用料の徴収を1年間停止」となる。いずれも1年間という期限付きではあるが、激化していた貿易紛争に一定の目途が付いた形だ。

マーケットの動きとしては、30日の会談後に詳細が発表されなかったことでリスク回避の動きが進んでいたが、31日はリスク選好の動きが再開。為替相場ではリスク資産であるドル買いが進み一時1ドル154円台まで上昇、また日経平均株価も初の52,000円台に乗せるなど、投資家の積極的な投資姿勢がみられる。

リスク選好もビットコインは売り先行、オプション満期の警戒感が要因か

2025年10月31日のビットコイン(BTCUSD)の1時間足チャート
ビットコイン価格チャート(対米ドル) 出典:TradingView

リスク買いが進んでいるマーケットだが、ビットコインは上値が重い展開が続く。30日に米中首脳会談の合意内容が発表された直後は11万ドル台に回復していたが、上昇分をすぐに相殺。31日には再び11万ドル越を狙うものの跳ね返され、13時時点では10.9万ドル台を推移している。

ビットコインが下落を続けている要因として、ビットコインオプションの満期に備えているという点が考えられる。暗号資産(仮想通貨)デリバティブ取引所Deribit(デリビット)によると、ビットコイン144億ドル・イーサリアム約26億ドルのオプション取引が31日17時(日本時間)に満期を迎えるとのこと。

トレーダーがオプション満期による急激な価格変動に備えるために保有するポジションを手放していることが、ファンダメンタルズに反してビットコイン価格が下落している原因だと考えられる。

今後はボラティリティの増加にともなう仕掛け的な動きを挟みながらも、オプション満期に向けて低調な動きが続くとみられるため、しばらくはファンダメンタルズよりもテクニカルやボラティリティを重視したトレード戦略を組み立てていきたい。

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金融ジャンルを得意とするWebライター。投資歴は「FX10年」「株6年」「暗号資産3年」。テクニカルとファンダメンタルズの両面から相場を分析することで、中長期の安定したトレードが得意。保有資格:ファイナンシャルプランナー2級・AFP
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