仮想通貨アナリストが指摘「大衆はまだそのことに気づいてさえいない」
暗号資産(仮想通貨)アナリストのDoctor Profit氏は28日、ビットコインがテクニカル上の重要な抵抗線を突破したとXで指摘した。この抵抗線とは、月足チャートにおける2021年の史上最高値から引かれる長期的な対角抵抗線である。このラインは過去、ビットコイン価格の強力な”蓋”として機能してきた。同氏は「大衆はまだそのことに気づいてさえいない」と述べ、市場がこのブレイクアウトの意義を十分に認識していないと強調した。
実際、2024年11月から2025年2月にかけての4ヶ月間、ビットコインは毎月この抵抗線に頭を抑えられ、突破に失敗し続けてきた。そして今月ついに、この重い蓋を明確に上方向へブレイク。一度このラインまで価格を戻すと、今度は支持線として機能することをテストした後、力強く反発するという強気の動きを見せた。
このテクニカルな追い風を、さらに加速させる可能性があるのがマクロ経済環境の好転だ。28日(日本時間)、トランプ大統領がEUとの間で大規模な貿易協定を成立させた。このニュースは、これまで市場の重しとなっていた関税戦争への懸念を払拭させるに十分なインパクトを持つ。この種のポジティブな材料は、伝統的な株式市場のみならず、リスク資産と見なされる仮想通貨市場にも追い風となるだろう。
一方で、市場では短期的な価格変動に惑わされる動きも散見される。先週初めには、大手仮想通貨関連企業「Galaxy Digital(ギャラクシーデジタル)」のウォレットからの資金移動が観測され、一時的に価格が下落。Doctor Profit氏はこれについて「まったくの見当違い」とし、パニックを一蹴した。
なぜなら、その裏では「BlackRock(ブラックロック)」などが提供する現物ETF(上場投資信託)を通じて、けた違いの買いが継続しているからだ。ETFは、市場で採掘されるビットコインの量を上回るペースで吸収を続けており、いわば市場からビットコインを掃除機のように吸い上げている状態にある。一部のクジラ(大口投資家)の動きは、この巨大な潮流の前では些細なノイズに過ぎない、というわけだ。
そして、この強気相場の根底を支える最も重要なエンジンは、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策、すなわち「M2マネーサプライ(市中に出回るお金の量)」の動向にあるとの見方がきわめて根強い。同氏によれば、FRBが「量的引き締め」を継続しているにもかかわらず、2025年に入ってからM2は2.3%も増加している。本来ありえないはずの「引き締め下の資金供給」が行われている。
過去のデータによれば、M2が1%増加するごとに、ビットコイン価格は30%から35%上昇するという相関関係が見られる。特に今年5月から6月にかけてのM2の増加率は顕著であり、約60日から90日とされる価格への反映ラグを考慮すれば、今後数週間で15%以上のラリーが発生し、価格を13万ドル台へと押し上げる計算になるという。
「テクニカル」「ファンダメンタル」「金融政策」。3つの最重要強気材料がトライアングルフォースのように組み合わさり、ビットコインはまさに歴史的な転換点を迎えているのかもしれない。今後の値動きから、ますます目が離せなくなった。