オンチェーン分析企業「Bubblemaps(バブルマップス)」は12日、高性能ブロックチェーン「Monad(モナド)」の主要プロジェクトである「aPriori(アプリオリ)」が実施したAPRトークン総供給量の12%にあたるエアドロップのうち、その60%以上が単一の主体により請求された可能性があると指摘した。同社の分析によれば、14,000もの関連ウォレットが同一主体によって操作されたという。
シビル攻撃の疑い、複雑な階層構造でトークン分散
アプリオリは、高性能ブロックチェーン向けに取引実行とデータ処理を最適化する「インテリジェント協調レイヤー」を開発するプロジェクトとして知られる。パンテラ・キャピタルやハッシュキー・キャピタルといった著名ベンチャーから総額3,000万ドル(約46億円)超を調達。APRはローンチ直後に時価総額3億ドル(約465億円)を記録するなど、その動向は業界内で注目を集めていた。
バブルマップスの報告によると、問題となっているウォレット群は暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスを経由して資金供給を受けており、各ウォレットは短時間に0.001 BNBという少額のガス代を同時に受領していたという。これは不正に多数のウォレットを作成・操作して利益を得ようとする「シビル攻撃」の可能性を示唆している。
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また、請求されたAPRはさらに別の複数アドレスへと送金されており、背後にいる主体が階層的で複雑な構造を形成していることも明らかにされている。バブルマップスがこの点を指摘した時点においても、新たなウォレットへの資金提供が継続しており、APRの請求が試みられているという。
バブルマップスは、該当ウォレットがどのようにしてエアドロップ対象となったのか、あるいは背後の主体が誰なのかについては不明としている。同社はアプリオリの開発チームにも連絡を試みたものの、現時点で公式な回答は得られていないと共有した。
今回の疑惑は、急成長するDeFi(分散型金融)分野におけるエアドロップ配布の透明性と公平性を改めて問い直すものとなった。プロジェクトの信頼回復のためには、アプリオリ自身による詳細な調査と説明責任が求められるだろう。
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