米国のスコット・ベッセント財務長官は、政府が今後ビットコインを追加購入する予定はないと明言した。14日、米ビジネスメディア「Fox Business(フォックス・ビジネス)」のインタビューで語った。
米政府の買い増しによる値上がり、当面は期待薄か
インタビューの中でベッセント財務長官は、「我々はビットコイン戦略的準備金も開始した。ビットコイン準備金は購入するのではなく、押収した資産を活用して積み増していくつもりだ」と語った。
この発言により、米政府は今後、市場で新たにビットコインを購入する意思がないことを明確にしつつ、司法当局によって押収された暗号資産(仮想通貨)を活用して準備金を形成・強化していく方針を示した。
実際、ブロックチェーン分析企業「Arkham Intelligence(アーカム・インテリジェンス)」のデータによれば、2025年8月時点で米国政府は198,022 BTCを保有しており、これは現在の相場で約234億ドル(約3.4兆円)に相当する。これらのビットコインは、主に捜査機関による刑事事件の押収を通じて取得されたものだ。
一方で、市場における政府の直接的な買い支えや新規購入への期待は、今回の発言によって否定された形だ。ベッセント長官の姿勢には、ボラティリティの高いビットコイン市場に対する慎重な姿勢がうかがえる。
今回の米財務長官の方針表明は、中央銀行や各国財務当局が仮想通貨をどのように制度的に組み込んでいくかを模索する中で、具体的かつ現実的なひとつの方策を示すものとなっている。他国における政策形成にも一定の影響を及ぼす可能性がある。
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