トランプ・メディア、ビットコイン財務戦略強化も成長鈍化──株価3.81%安

ヤマダケイスケ
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ドナルド・トランプ米大統領が創設した「Trump Media and Technology Group Corp.(以下、トランプ・メディア)」は1日、2025年第2四半期の財務実績を公開した。同社はビットコイン(BTC)を基軸とした積極的な財務戦略で金融資産を積み上げる一方、売上不振と多額の損失が明らかとなり、株式市場では売り圧力が強まる展開となっている。

流動資産30億ドル突破も、利益面は厳しい結果に

企業・国家単位でのビットコイン保有状況を集計する「BitcoinTreasuries(ビットコイントレジャリーズ)」によれば、トランプ・メディアは執筆時点で18,430 BTCを保有し、企業ランキングで世界第6位に位置している。この大規模な保有は、同社の財務基盤の強化に大きく寄与した要因と言えるだろう。報告書で同社は、「ビットコインを中核に据えた財務戦略がバランスシートの拡大に貢献した」と財務戦略を評価している。

一方、収益面では依然として課題が残る。合併に関連した訴訟費用などの法務関連コストが影響し、第2四半期の純損失は2,000万ドル(約29.5億円)を記録。その反面、売上高は90万ドル(約1.3億円)と前年同期比で6%の微増にとどまっている。営業キャッシュフローは創業時以来のプラスに転じたものの、第2四半期は収益が費用に追いつかない状態で幕を下ろした形だ。

このような財務状況を受け、株式市場では売りが先行。トランプ・メディアの株価は執筆時点で前日比-3.81%の16.92ドルまで下落している。7月21日のビットコイン関連資産額の公開で株価上昇するタイミングも見られたが、現状はここ数週間分の上昇が打ち消されている。

Trump Media & Technology Group(DJT)の株価日足チャート。2024年後半に高騰後、2025年にかけて下落基調。
出典:TradingView

ユーティリティトークンとデジタルウォレット開発を計画

同社は財務報告と併せ、今後の事業展開として独自のユーティリティトークンおよび専用のデジタルウォレットを開発する方針を明らかにしている。新トークンは、同社が展開するTV配信プラットフォーム「Truth+(トゥルースプラス)」の購読料支払いに使えるようになり、将来的にはトゥルースエコシステム内の商品・サービス購入などでの利用を予定しているという。

同社は今後、トゥルースプラスのグローバル展開を視野に入れた動きを進めていく予定だ。新トークンの発行は、トゥルースプラスの基盤強化を狙った取り組みの一環と考えられる。ただし、トークン名称や発行枚数、ウォレットの仕様などについては詳細が明かされていないため、今後の情報公開が待たれる状況だ。

過去には、トランプ米大統領の名を冠した公式ミームコイン「TRUMP(トランプコイン)」が市場で大きく注目を集めた。こうした背景もあり、トランプ米大統領と関連のあるユーティリティトークン構想にも業界内外からの関心が寄せられている。発行が現実のものとなれば、その存在感を一気に市場で強めていく可能性も考えられるだろう。

財務面での課題を抱えつつも、積極的な仮想通貨戦略により、トランプ・メディアは再び市場で注目を集めつつある。新たな試みだけでなく、すでに発表されているビットコインの財務資産化やビットコインETF(上場投資信託)を含む積極的なWeb3戦略が同社の成長にどう影響していくか、今後の展開にも注目したい。

関連:トランプ・メディア(TMTG)、ビットコイン関連資産20億ドル保有を公表
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.58円)

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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