米大手投資プラットフォーム「Robinhood(ロビンフッド)」が6日、モバイルアプリとウェブサイトで大規模なシステム障害に見舞われ、アクセスや取引が一時的に不可能になったことが明らかになった。このシステム障害が米国株式市場の開場タイミングと重なったこともあり、利用者の間では大きな混乱が広がっている。
1万件以上の障害報告、損失を被った利用者も
システム障害のリアルタイム監視サイト「Downdetector(ダウンディテクター)」のデータによると、米東部時間の午後10時頃に報告件数が急増。1万件を超えるユーザーがシステム障害の発生を報告している。この件数はユーザートラブルの範疇を超えており、明らかにロビンフッド側のシステムに起因する障害であることを示唆している。

システム障害に直面した利用者によると、市場開始から30分以上もロビンフッドへアクセスできなかったという。加えて、約1,000ドル(約15万円)の損失が発生したと主張しており、サポート対応への不満も示している。同様の報告は他の利用者からも寄せられており、今回の障害によって損失を被った投資家は少なくないとみられる。
公式声明は未発表、API経由のデータフィードに問題発生か?
現時点でロビンフッドは声明を発表していないため、障害の原因は明らかになっていない。一方、一部の利用者は他の金融関連サイトでも同様のアクセス不具合が発生していると報告。金融企業が共通して利用するAPI経由のデータフィードに問題が発生したのではないかとの見方も浮上している。
過去のシステム障害事例で訴訟懸念、株式市場にも打撃
今回のシステム障害を受け、ロビンフッド株価は下落。執筆時点では前日比2.97%安の144.26ドルで取引されており、直近の上昇基調から一転して大陰線を形成している。システムリスクへの懸念が同社株の売りを誘発した可能性がある。

ロビンフッドでは、2020年3月にも取引停止を伴うシステム障害が発生している。その際、同社は米金融取引業規制機構(FINRA)から約7,000万ドル(当時換算:約77億円)の制裁金等の支払いを命じられた経緯がある。今回の障害が同様に深刻なものであると認定された場合、再び訴訟や規制当局の調査に発展する可能性も否定できないだろう。
頻発するシステム障害は、利用者の信頼を揺るがすだけでなく、同社のブランド価値にも直接的な影響を与える要因になり得る。個人投資家の間で急速に成長してきたロビンフッドにとって、システム改善と利用者への補償対応が今後の運営体制と信頼性の再構築に関わる重要ポイントになりそうだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=150.44円)