世界最大級のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」創業者のレイ・ダリオ氏が20日、CNBC番組のインタビューで現在の金融市場について「間違いなくバブルの状態にある」との見解を示した。NVIDIAを中心としたAI関連株の高騰が続く中、市場環境が歴史的なバブル崩壊前夜と類似していると警鐘を鳴らしている。
「資産売却による現金化がバブル崩壊のきっかけになる」
ダリオ氏によれば、自身が用いるバブル指標が示す数値は、1929年や2000年のバブル期と比較して80%の水準にあるという。指標はレバレッジの規模や資産価値と現金量の関係など複数の要素から構成され、市場の「持続可能性」がどの程度損なわれているかを測るものだ。
同氏が特に重要視したのは「誰が株を保有しているか」である。番組内で、自己資金で運用する層を「強い手」、レバレッジを伴う一般投資家層を「弱い手」と呼び、多くの弱い手が市場に参入している状態はバブルの構成要素になりやすいと指摘した。
一方で、バブル領域に入ったからといって即座に暴落が起きるわけではないとも強調している。過去にはバブルだと認識された後でも市場が上昇し続けた例があり、「バブルだからという理由だけで売るべきではない」と述べた。
ただし、高い評価水準で投資を行った場合、長期の期待リターンは低くなりやすいという。過去の傾向では、高い株価水準で投資した際の10年リターンは年率+2%〜-2%程度に収まりやすい。
ダリオ氏は、市場バブルの根底にあるのは「富の創出」と「現金の必要性」の不均衡だと説明する。株価上昇によって資産価値が膨らんでも、それはあくまで「富」にすぎず、支出や税金の支払いが生じれば投資家は資産を売却して現金を確保するしかない。
こうした「現金需要の連鎖」が価格を押し下げ、結果的にバブルが崩れる構図になる。金融引き締めや富裕層課税などで現金が必要になる場面が広がれば、同様の力学が現在の市場でも働き得るとの見方を示した。
AI関連株が加熱すると資金が株式市場に偏り、仮想通貨市場へ資金が流れにくくなる。また株式市場で現金需要が高まると、仮想通貨を含むリスク資産が売られる可能性がある。仮想通貨投資では値動きよりも、資産の保有者構造や市場全体の資金の流れを把握することが重要だ。
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