暗号資産(仮想通貨)「Plasma(プラズマ、XPL)」が25日22時、複数の暗号資産(仮想通貨取引所に同時上場した。大手仮想通貨取引所「Binance(バイナンス)」では始値0.1ドルで取引を開始し、直後に0.85ドルまで急騰。本記事執筆時点では0.92ドル付近で推移している。上場来の出来高は約6億ドル(約900億円)に達しており、取引開始直後から活況を呈している。

ステーブルコイン決済に特化したレイヤー1チェーン
プラズマは、ステーブルコイン決済に特化したレイヤー1ブロックチェーンだ。特徴的なのは、ユーザーがUSDTを送受信する場合には手数料が発生しない「ガスレス送金」を実現している点だ。一方で、スマートコントラクトの実行やDApps(分散型アプリケーション)の利用といった複雑な処理にはステーブルコインやXPLなどをガスとして支払う必要がある。
さらに2025年9月には、ステーブルコインに特化したネオバンク構想「Plasma One(プラズマ・ワン)」を発表した。利用者はUSDTを手数料無料で送受信できるほか、貯蓄や送金、カード決済を一つのアプリで行える。カード利用では年利10%超の利回りや最大4%のキャッシュバックが提供され、150カ国以上の加盟店で使用可能だ。ドル需要の高い地域を中心に展開を進め、既存金融に代わる利便性を備えたサービスとしてグローバルな普及を目指す。
2025年2月、同プロジェクトはUSDTの発行元企業「Tether(テザー)」の姉妹企業「Bitfinex(ビットフィネックス)」をはじめ、複数の投資家から総額2,400万ドル(約36億円)の資金調達に成功した。さらに、2025年7月に実施されたパブリックセールでは、3億7,300万ドル(約558億円)の申し込みを集めた。
XPLは総供給量100億枚で、40%がエコシステム拡張に割り当てられる。ローンチ時に8%を流動性や提携に活用し、残りは3年間で段階的に放出。開発チーム・従業員と投資家・戦略パートナーにそれぞれ25%が配分され、1年のロック後に2年かけて市場へ供給される。これにより大量流通を防ぎ、市場への供給圧力を抑制する設計となっている。
今回の上場はプロジェクトの存在感を示す契機となった。しかし、真価が問われるのはガスレス送金やプラズマ・ワンといった特徴が、どこまで実需として利用されるかにかかっている。市場の評価は利用者基盤の拡大に左右されるだろう。
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