分散型取引所(DEX)「MYX Finance(MYXファイナンス)」が発行する「MYXトークン」が8日、前日比303.30%という驚異的な急騰を記録し、価格は一時14ドルを突破した。わずか1日で10倍以上の値上がりを見せたことで、同トークンは暗号資産(仮想通貨)投資家からの大きな注目を集めている。

過去24時間で約94.8億円の清算、全通貨でトップ
SNS上では今回の急騰であっけに取られる投資家も少なくないようだ。依然として急騰の背景が議論されている状況であるが、仮想通貨インフルエンサーのAi 姨氏は今回の急騰要因を「大口の空売りポジションの強制決済」と分析している。
同氏によると、大口投資家が478万ドル相当(約7億円)の空売りポジションを持っていたが、市場変動によって強制的に買い戻されたと指摘。大量の買い注文が一気に入ったことで、8ドルまでの価格上昇を記録したという。その後も上昇が継続したことから、この清算が買い圧力を後押しする要因となったとみられる。
仮想通貨データサイト「coinglass(コイングラス)」のデータによると、MYXトークンは過去24時間で約5,300万ドル(約78億円)のショートポジションが清算され、ロングを含めた総清算額は6,441万ドル(約94.8億円)に達している。これは全通貨の中で最大規模であり、相場に与えたインパクトの大きさを物語っている。

一方、大手取引所「Binance(バイナンス)」におけるMYXトークンのロング・ショート比率は0.371と低水準にある。これは、多くの投資家が価格下落を予想してショートポジションを構築していることを示唆する。ショート優勢の傾向が見られることから、現在の価格帯が一旦の高値として認識される可能性も考えられそうだ。

投資家心理が売りに傾く中、今後の売りに警鐘を鳴らす投資家も少なくない。仮想通貨インフルエンサーのØхAdamas氏は、「いつか必ず下落に転じるが、そのタイミングを見極めることが非常に難しい」と警告。安易にショートポジションを取ることは「ただのギャンブル」だと強調し、投資家に慎重な判断を促している。
MYXトークンの急騰は市場の思惑と清算が交錯した結果といえるが、その反動としての急落リスクも無視できない。高いボラティリティの裏側には依然として投資家の不安が潜んでいる。MYXトークンは今、投資家にとって短期的な利益追求か、リスク管理を優先するかの選択を迫られる局面にある。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.32円)