2014年にハッキング被害を受けて破産した暗号資産(仮想通貨)取引所「Mt.Gox(マウントゴックス)」は27日、債務者への弁済期限を従来予定されていた2025年10月31日から1年間延期することを明らかにした。
3度目の期限延長、再生手続きの長期化が鮮明に
弁済管財人である小林信明氏によると、すでに受領手続きを完了し、手続き中に問題のなかった再生債権者に対しては「基本弁済」「早期一括弁済」「中間弁済」が概ね完了しているという。
しかし、受領手続きを完了していない債権者や、弁済手続き中に不備が発生した債権者が依然として多数存在しており、これが弁済全体の遅延につながっている。今回の延長は、そうした債権者に対して合理的な範囲で弁済を進めるため、裁判所の許可を得て実施されたものとなっている。
当初、マウントゴックスは2023年10月31日までに弁済を完了する予定だったが、その後2024年、2025年と2度にわたり期限を1年ずつ延長。いずれの場合も、債権者側の手続き上の問題や確認作業の遅れが期限延長の理由として挙げられている。
2024年7月には、一部の暗号資産取引所を通じてビットコイン(BTC)およびビットコインキャッシュ(BCH)による弁済が実施されているが、すべての債権者に支払いが完了したわけではない。オンチェーン分析プラットフォーム「アーカム」のデータによると、マウントゴックス関連ウォレットには執筆現在も約34,689 BTC(約39.5億ドル、約6,000億円)が弁済のために保管されている。
これまで市場ではマウントゴックスの弁済期限が近づくにつれて、ビットコイン価格に大きな売り圧力がかかるのではないかとの懸念がその都度浮上してきた。だが今回の延長により、その懸念や市場への影響は少なくとも来年まで先送りされることになる。
10年を超える再生手続きが今だに続いている点は、かつて世界最大級だった暗号資産取引所の後処理の難しさを物語っている。弁済完了までの道のりは依然として不透明だが、被害者の最終的な救済に向けた歩みは今後も継続される見通しだ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=152.4円)




