ビットコイン財務戦略企業で東証スタンダード上場のメタプラネット(3350)は13日、ブルームバーグ報道を受け、「本日の一部報道について」と題する公式見解を発表した。日本取引所グループ(JPX)がビットコイン・トレジャリー企業を含む暗号資産(仮想通貨)保有企業への規制強化を検討しているとの報道に対し、「本日現在、当社の事業に対して関係当局より何らかの規制措置や調査等を受けている事実はない」と明言した。
ブルームバーグは13日、JPXが暗号資産トレジャリー企業の拡大抑制を検討していると報じた。報道では、裏口上場防止ルールの厳格化や新たな監査義務化などが検討されており、9月以降、上場企業3社が暗号資産購入計画を保留したとされている。
裏口上場(バックドア・リスティング)とは、通常の新規株式公開(IPO)の厳格な審査を回避し、既存の上場企業を買収・合併して事業内容を大幅に変更することで、実質的に上場企業の地位を獲得する手法を指す。投資家保護やガバナンスの観点から問題視されることが多い。
「透明性と信頼性を高める動きは健全」との認識
メタプラネットは公式見解の中で、「近年、ビットコインを自社の準備資産として保有する『ビットコイン・トレジャリー企業』が世界的に増加している」と指摘。「各国の当局では、投資家保護や市場の健全性確保を目的として、裏口上場の防止やコーポレート・ガバナンスの強化を求める議論が進んでいる」との認識を示した。
その上で、「こうした流れは、ビットコイン・トレジャリーという新しい事業形態の透明性と信頼性を高めるうえで、必然的かつ健全な動きである」と評価。要請があれば「関係当局との建設的な対話を通じて、適正な制度整備のあり方について真摯に議論を進める」との方針を表明した。
同社は自社の取り組みについて、「法律・会計・税務の専門家と緊密に連携し、株主総会における株主の承認を含め、適用法令上必要と考えられるプロセスを適切に履践してきた」と説明。「コーポレート・ガバナンスを最上位の基本方針として、適法かつ透明性の高いプロセスに基づき事業転換を進めてきた」と強調した。
同社の代表取締役社長サイモン・ゲロビッチ氏は同日、X(旧ツイッター)でも「メタプラネットにおいて、コーポレート・ガバナンスはすべての意思決定の基盤です」と投稿。「この約2年で5回の株主総会を開催し、すべての重要な事項について株主の承認を経て進めてまいりました」と述べ、裏口上場や不十分なガバナンス手続きの事例には該当しないとの認識を示した。
メタプラネットは今後も「コーポレート・ガバナンスと透明性の強化を最優先に、ビットコイン・トレジャリー戦略を通じた企業価値の持続的向上と、資本市場からの信頼のさらなる確立に努める」としている。
なお、同社は同日、2025年12月期第3四半期決算も発表。親会社株主に帰属する四半期純利益は135億2,800万円と、前年同期の3億2,100万円の損失から大幅な黒字転換を果たした。ビットコイン評価益206億4,400万円を計上し、BTC保有高は30,823BTCに拡大。完全希薄化後1株当たりBTC保有量は前年末比約6倍の0.0214885BTCに上昇し、第3四半期のBTCイールドは33.0%を記録した。




