分散型取引所(DEX)およびブロックチェーンを運営するLighter(ライター)は11日、6,800万ドル(約105億円)の資金調達を完了したと発表した。米経済誌フォーチュンが報じた。
この調達ラウンドはピーター・ティール氏のファウンダーズ・ファンドとフィンテック投資家のリビット・キャピタルが主導し、ホーン・ベンチャーズやオンライン証券会社のロビンフッドも参加した。ロビンフッドはベンチャー投資をほとんど行わないことで知られており、今回の参加は異例。
評価額15億ドル、AIから暗号資産へ転換
取引の詳細に詳しい2人の関係者によると、ライターの評価額は約15億ドル(約2,309億円)となった。今回の調達は株式とトークンワラント(未発行の暗号資産の割当権)の組み合わせで実施された。
ライターの創設者兼CEOであるウラジミール・ノバコフスキー氏は2022年に同社を設立。もともとAI搭載ソーシャルネットワーキングプラットフォーム「Lunchclub」を共同創設していたが、2022年に成長が停滞したことを受けて暗号資産分野へ転換した。
ノバコフスキー氏はロシアから米国に移住後、16歳でハーバード大学に入学し、18歳でヘッジファンドのシタデル・インベストメント・グループに入社。約15年間エンジニアおよびトレーダーとして活動した経歴を持つ。
永久先物取引で急成長、既に黒字化
ライターは暗号資産(仮想通貨)の永久先物取引を提供する分散型取引所で、イーサリアムのレイヤー2ブロックチェーン上で稼働している。永久先物は有効期限のない先物契約で、トレーダーが必要証拠金を維持する限り保有し続けることができる。同社は近くビットコインなどのトークンの現物取引も開始する予定。
2025年1月にローンチしたライターは、暗号資産分析サイトL2BEATによると、総預かり資産額(TVL)でイーサリアム上位のレイヤー2ブロックチェーンの一つとなっている。ノバコフスキー氏は同社が既に黒字化していると明らかにした。
ハイパーリキッドとの競争激化
ライターは急成長する分散型取引所ハイパーリキッドとの競争に直面している。ハイパーリキッドは従業員わずか11人でバイナンスなどの中央集権型大手に挑戦し、市場を揺るがしている。バイナンスはハイパーリキッド対抗としてAster(アスター)と緊密に連携しており、edgeX(エッジエックス)など新興DEXも台頭している。
DeFiLlamaのデータによると、永久先物DEX市場ではライターが取引量で首位、ハイパーリキッドが2位、アスターが3位、エッジエックスが4位となっている。

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ノバコフスキー氏は、ライターがイーサリアム上のレイヤー2で稼働している点がハイパーリキッド(独自のレイヤー1ブロックチェーン)との主要な差別化要因だと指摘。「金融で起こるすべてのことが公正に、正確に、透明に行われることを検証するインフラ層になりたい」と述べた。
ライターは2024年にホーン・ベンチャーズとクラフト・ベンチャーズ主導で2,100万ドルを調達しており、今回の調達と合わせて累計約9,000万ドル(約139億円)を調達したことになる。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=153.95円)




