DEX「Lighter」、105億円調達──ティール氏ファンド主導、異例のロビンフッド参加

水澤 誉往
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Highlights
  • 分散型取引所およびイーサリアムL2のLighterがピーター・ティール氏のファウンダーズ・ファンド主導で6,800万ドル(約105億円)を調達
  • ベンチャー投資をほとんど行わないロビンフッドが異例の参加、評価額は約15億ドル(約2,309億円)
  • 永久先物取引に特化し2025年1月ローンチ、既に黒字化を達成

分散型取引所(DEX)およびブロックチェーンを運営するLighter(ライター)は11日、6,800万ドル(約105億円)の資金調達を完了したと発表した。米経済誌フォーチュンが報じた。

この調達ラウンドはピーター・ティール氏のファウンダーズ・ファンドとフィンテック投資家のリビット・キャピタルが主導し、ホーン・ベンチャーズやオンライン証券会社のロビンフッドも参加した。ロビンフッドはベンチャー投資をほとんど行わないことで知られており、今回の参加は異例。

評価額15億ドル、AIから暗号資産へ転換

取引の詳細に詳しい2人の関係者によると、ライターの評価額は約15億ドル(約2,309億円)となった。今回の調達は株式とトークンワラント(未発行の暗号資産の割当権)の組み合わせで実施された。

ライターの創設者兼CEOであるウラジミール・ノバコフスキー氏は2022年に同社を設立。もともとAI搭載ソーシャルネットワーキングプラットフォーム「Lunchclub」を共同創設していたが、2022年に成長が停滞したことを受けて暗号資産分野へ転換した。

ノバコフスキー氏はロシアから米国に移住後、16歳でハーバード大学に入学し、18歳でヘッジファンドのシタデル・インベストメント・グループに入社。約15年間エンジニアおよびトレーダーとして活動した経歴を持つ。

永久先物取引で急成長、既に黒字化

ライターは暗号資産(仮想通貨)の永久先物取引を提供する分散型取引所で、イーサリアムのレイヤー2ブロックチェーン上で稼働している。永久先物は有効期限のない先物契約で、トレーダーが必要証拠金を維持する限り保有し続けることができる。同社は近くビットコインなどのトークンの現物取引も開始する予定。

2025年1月にローンチしたライターは、暗号資産分析サイトL2BEATによると、総預かり資産額(TVL)でイーサリアム上位のレイヤー2ブロックチェーンの一つとなっている。ノバコフスキー氏は同社が既に黒字化していると明らかにした。

ハイパーリキッドとの競争激化

ライターは急成長する分散型取引所ハイパーリキッドとの競争に直面している。ハイパーリキッドは従業員わずか11人でバイナンスなどの中央集権型大手に挑戦し、市場を揺るがしている。バイナンスはハイパーリキッド対抗としてAster(アスター)と緊密に連携しており、edgeX(エッジエックス)など新興DEXも台頭している。

DeFiLlamaのデータによると、永久先物DEX市場ではライターが取引量で首位、ハイパーリキッドが2位、アスターが3位、エッジエックスが4位となっている。

perp DEX24時間取引ボリューム
永久先物DEX取引ボリューム 出典:DeFiLlama

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ノバコフスキー氏は、ライターがイーサリアム上のレイヤー2で稼働している点がハイパーリキッド(独自のレイヤー1ブロックチェーン)との主要な差別化要因だと指摘。「金融で起こるすべてのことが公正に、正確に、透明に行われることを検証するインフラ層になりたい」と述べた。

ライターは2024年にホーン・ベンチャーズとクラフト・ベンチャーズ主導で2,100万ドルを調達しており、今回の調達と合わせて累計約9,000万ドル(約139億円)を調達したことになる。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=153.95円)

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株式会社jaybe 代表取締役。香川県三豊市出身。2010年4月、株式会社一誠社入社。2011年よりFX取引を開始。2016年3月30日、bitFlyer代表取締役社長・加納裕三氏が出演する動画で仮想通貨に興味を持ち、 1BTC価格47,180円で0.02BTCを購入したことが仮想通貨投資の始まり。2017年11月、仮想通貨投資で身に付けた知識・経験を活かし、自身初のブログ「次男坊の仮想通貨な日」を立ち上げ。2018年4月、JinaCoinの前身である「ジナキャッシュ」開設。2019年10月、収益の安定化に成功し、株式会社一誠社を退職、個人事業主として独立。2020年6月、事業拡大に伴い、株式会社jaybe(法人番号:7470001018079)を創業。 2023年、メディアの名称を「JinaCoin」に変更。月間15万PVを超える仮想通貨情報メディアに成長させる。現在は仮想通貨投資を行う傍ら、仮想通貨の普及活動やマーケットリサーチ等を行なっている。2024年6月、一般社団法人 日本クリプトコイン協会の「暗号通貨認定アドバイザー」資格を取得。仮想通貨投資活動:現物保有・デリバティブ取引・DeFi運用・エアドロップ活動。好きな銘柄:ビットコイン。著書:海外FXのはじめ方完全ガイド。WEB取材:凄腕FXトレーダーへインタビュ ー!vol.8=TitanFX。趣味:投資全般・SEO・読書
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