廃棄物炭化装置とカーボンクレジットを活用したWeb3.0事業を展開
東証スタンダード上場の株式会社北紡(証券コード:3409)は5日、暗号資産(仮想通貨)交換業者のビットトレード株式会社と暗号資産並びにWeb3.0関連ビジネスに関する基本合意書を締結したと発表した。
同社は環境分野をテーマとした独自トークンの発行を計画している。持続可能な社会の実現に貢献する仕組みを目指すものだ。
北紡は2025年5月14日に暗号資産およびRWA(Real World Assets)関連事業の開始を公表しており、6月30日の定時株主総会では関連する定款変更の承認を得ている。7月22日には8億円の決議枠でビットコイン購入を開始し、ドルコスト平均法による順次取得を実施している JinaCoin。さらに7月30日には香港のTHASH社と共同で仮想通貨マイニング事業を担う新会社設立も発表するなど、暗号資産関連事業への参入を加速させている JinaCoin。
環境関連トークンで新たなビジネスモデルを構築
今回の基本合意では、Web3.0及びグリーンエネルギー分野における活動支援と、両社が提供するサービスの推進に向けた具体的な提携内容について検討・協議を進めることが目的とされている。
北紡が企画するトークンは環境関連トークンで、持続可能な社会の実現に貢献する仕組みを構築する計画だ。
具体的な事業展開として、廃棄物の炭化によって再利用可能な固形燃料を製造する高温熱分解装置やバイオマス発電所を活用した売電設備を用いた実証実験を行う予定である。カーボンクレジットの取得から売電収入による事業収益性を見極めていく方針で、環境技術とブロックチェーン技術を組み合わせた新たなビジネスモデルの確立を目指している。
これは同社が既に発表している仮想通貨マイニング事業でも環境配慮型の手法を検討していることと一致している。国内では廃油発電、海外ではバイオマス発電など、再生可能エネルギーを活用したマイニング事業を推進する方針を示している。
同社は「将来的にはポイントサービスやマイレージサービスのように、トークン発行が日常的に普及する時代が訪れる」との見解を示している。
その将来を見据え、関連法規を遵守し、会計基準にも適合した健全なトークン発行を行う方針だ。
ビットトレードとの連携で技術・制度面を強化
提携相手のビットトレード株式会社は、暗号資産交換業(関東財務局長第00007号)及び第一種金融商品取引業(関東財務局長(金商)第3295号)の登録を受けた企業で、2016年9月設立、資本金1億円。
2025年3月期の業績は売上高21億8,700万円、営業利益6億400万円、当期純利益5億6,600万円と堅調な成長を示している。
今後は北紡の開発中独自トークンに関してトークンエコシステム及びブロックチェーンシステムを企画・開発するため、定期的な会議を開催する予定である。日本市場参入に関する様々な問題点について両社が協力し、万全を期してトークンビジネスに取り組む方針を示している。
北紡の暗号資産事業は多角的な展開を見せており、ビットコイン購入、マイニング事業、そして今回の環境関連トークン発行と、包括的な戦略を構築している。
北紡は2026年3月期の業績予想について、本件は織り込んでいないとしている。今後の業績に与える影響については詳細が判明次第、業績予想を適宜見直して適時かつ適切に開示するとしている。
環境技術とWeb3.0技術を融合した新たな事業展開により、同社の企業価値向上が期待される。
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