インドの執行局(ED)が、実業家のラジ・クンドラ氏に対してビットコイン詐欺事件に関連した起訴状を提出した。執行局は同氏が取引における単なる「仲介者」ではなく、「実質的な所有者」であったと主張している。地元紙が9月27日に報じた。
285BTCの隠匿疑惑で起訴状提出
執行局によると、クンドラ氏は故暗号資産詐欺の首謀者アミット・バルドワジ氏から受け取った285BTC(ビットコイン)を所有しており、現在の価値は日本円にして約47億円に相当する。起訴状はマネーロンダリング防止法(PMLA)の特別裁判所に提出された。
執行局はクンドラ氏がビットコイン・ウォレットのアドレスなど重要な証拠を故意に隠蔽し、バルドワジ氏から受け取ったビットコインの引き渡しを拒否していると指摘している。さらに執行局は、クンドラ氏が犯罪活動による資金の出所を偽装するため、女優の妻シルパ・シェッティ氏との間で「市場価格を大幅に下回る価格」での「正当な取引」を行ったと述べている。
このマネーロンダリング事件は、マハラシュトラ州警察とデリー警察が変数テック・プライベート・リミテッド社、故アミット・バルドワジ氏らに対して提出したFIR(第一情報報告書)に端を発する。クンドラ氏は「ゲイン・ビットコイン・ポンジー詐欺」の首謀者であるアミット・バルドワジ氏から、ウクライナでのビットコイン・マイニング・ファーム設立のために285BTCを受け取ったと執行局は主張している。
起訴状では、クンドラ氏が取引で仲介者として行動したと主張しているが、それを証明する「基礎的な文書証拠」を提供していないと指摘している。執行局は、クンドラ氏が取引から7年以上経過しても受け取ったビットコインの正確な数量を記憶していることが、「実質的所有者であった事実を裏付けている」と述べている。
2018年以降、クンドラ氏は285BTCが転送されたウォレット・アドレスの提供を一貫して拒否している。同氏は最初の証言直後にiPhone Xが損傷したことを理由に情報が欠落していると説明したが、執行局はこれを証拠隠滅を図る故意の試みと見なしている。