デリバティブ取引を強みにもつ分散型取引所(DEX)「Hyperliquid(ハイパーリキッド)」が7月、過去最高となる約3,200億ドル(約47兆円)の月間取引高を記録したことが明らかとなった。海外の暗号資産(仮想通貨)メディア「The Block(ザ・ブロック)」のデータによると、この取引高は全デリバティブプロトコルにおける取引高の約79%を占有。ハイパーリキッドの市場支配力が如実に示された。

市場の活況、HYPEの企業導入が後押しに
ハイパーリキッドはビットコイン(BTC)価格の急騰に伴い市場が活性化した2024年後半以降、着実に取引高を伸ばしてきた。特に同年11月には、前月比119%という驚異的な取引高増を記録。その後は一時的な減速も見られたが、2025年5月には当時としては過去最高となる約2,480億ドル(約36.4兆円)の取引高を記録し、市場での存在感をより確かなものにした。
そして7月、月間取引高は同年5月比で約28%増、前月比では約47%増となり、デリバティブプロトコルの筆頭として成長基調を再び加速させている。執筆時点における8月の取引高はすでに約370億ドル(約5.4兆円)に達しており、他のプロトコルを圧倒。ハイパーリキッドの快進撃は今後も継続しそうな勢いだ。
月間取引高拡大の背景のひとつとして、企業や機関投資家による仮想通貨市場への積極的な関与がある。特にハイパーリキッドのネイティブトークン「HYPE」への注目が直近で高まっており、7月に入ってからは同トークンを財務資産として据えようという企業の動きが目立つようになった。
7月1日には米医薬品製造企業「Eyenovia(アイノビア)」が265,872 HYPE(約1,000万ドル、約14.7億円)の追加購入を発表 Jinacoin。さらに28日には、米ナスダック上場企業「Hyperion DeFi(ハイペリオン・ディーファイ)」も108,594 HYPE(約500万ドル、約7.3億円)の追加購入を発表している Jinacoin。これらの動きはトークン価格の上昇はもちろん、トークンやプロトコルに対する信頼性向上に寄与する要因となっている。
HYPEはステーキングをはじめとした戦略的な運用が可能で、トークン価格の上昇と組み合わせることで高い収益性が期待できる。こうしたトークンの在り方は、長期的な目線で自社や株主価値向上を目指す企業のニーズと合致している。HYPEを採用する企業が今後も拡大していけば、ハイパーリキッドエコシステムの成長加速につながるだろう。
分散型取引の未来を象徴する存在として台頭するハイパーリキッドは、これからもその取引高と市場影響力をさらに拡大させていくことが予想される。今後のプロダクト展開やHYPEの実用性向上といった動きにも注目しながら、同プロトコルの動向を追いかけていきたい。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.01円)