イーサリアムトレジャリー企業FGネクサス、自社株買い資金確保のため約1万ETH売却

伊藤 将史
11 Min Read
Highlights
  • FGネクサスが自社株買い資金確保のため保有イーサリアム10,922 ETHを売却
  • 売却後のETH保有量が40,005 ETHとなり、保有量の約5分の1を処分
  • 調達資金を用いて発行済み株式の約8%にあたる340万株を買い戻し

イーサリアム(ETH)トレジャリー企業のFGネクサスは20日、2025年第3四半期の決算ハイライトを発表し、自社株買い戻し資金を確保するため1万ETH以上を売却したことを明らかにした。

保有イーサリアムの約5分の1を売却、発行済み株式の8%を買い戻し

FGネクサスは米ナスダック上場の金融サービス企業で、今年7月にイーサリアムの取得および保有を財務戦略の中心に据える、イーサリアムトレジャリー企業へと方針を転換したことで知られている。

2025年9月30日時点での主要なバランスシート指標は以下の通りである。

  • ETH総保有量:50,778 ETH
  • 現金および現金同等物:750万ドル(約11.8億円)
  • 負債総額:190万ドル(約2.9億円)
  • 株主資本総額:2億3,100万ドル(約363億円)
  • 普通株一株当たり簿価:5.80ドル

発表によると、同社は2025年10月23日、以前に発表していた自社株買い戻しプログラムに基づき、普通株式の買い戻しを開始した。そのために、約1,000万ドル(約15.7億円)を借り入れ、さらに10,922ETH(約48.8億円)を売却した。

これらの資金は、「買い戻しの加速と株主価値の向上」に充てられ、同社は340万株の普通株式を平均約3.45ドルで買い戻したという。

この動きの結果、11月19日時点での同社の保有資産は、40,005 ETHおよび約3,700万ドル(約58.2億円)の現金・USDCとなっている。また、同日時点での負債総額は1,190万ドル(約18.7億円)、発行済み普通株式数は4,010万株(未転換のプレファンデッド・ワラント130万株を含む)であり、一株当たり純資産価値(NAV)は約3.94ドルとのことだ。

FGネクサスの会長兼CEOであるカイル・セルミナラ氏は、「買い戻しを開始して以来、我々は発行済み株式の8%をNAVに対して大幅な割引価格で買い戻しながら、強力なイーサリアムと現金のバランスを維持している」とコメントした。

さらに同氏は、「株価がNAVを下回って取引されている間は、株式の買い戻しを継続する計画だ。これにより、発行済み株式数が減少し、一株当たり純資産価値が増加するため、一株当たりの評価指標に加速度的な効果をもたらす」と説明している。

FGネクサスは、デジタル資産トレジャリーの構築と、現実資産(RWA)のトークン化のための主要プラットフォームになることを目指している。同社はイーサリアムをステーキングし、追加の利回り戦略を実施することでトレジャリーの利回りを高める一方、トークン化されたRWAやステーブルコインベースの利回りソリューションなど、「デジタル資産を活用した金融への戦略的ゲートウェイとしての地位を確立する」としている。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.32円/1ETH=447,280円)

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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