米大手暗号資産(仮想通貨)取引所「Coinbase(コインベース)」の株価(ナスダック:COIN)は2日、前日比7.48%の上昇を記録。年初来では45.07%と非常に強いパフォーマンスを見せている。
株価の推移をみると、1日の終値は346.20ドル、2日には寄り付きから355.00ドルまで跳ね上がり、その後も上昇基調を維持。3日には一時383.47ドルをつけるなど、勢いを強めている。

ビットコイン上昇と格上げ報道が株価を後押し
ビットコインが史上最高値更新に向かい、暗号資産市場が熱気を帯びる中、コインベースの株価もつられるように上昇している。また、同日報じられた投資判断の格上げも投資家心理を押し上げ、上昇に拍車をかけた。
金融専門誌「Barron’s(バロンズ)」は2日、投資銀行「Rothschild & Co Redburn(ロスチャイルド&カンパニー・レッドバーン)」が同日付でコインベース株の投資判断を「中立(Neutral)」から「買い(Buy)」に引き上げ、目標株価も325ドルから417ドルへと大幅に上方修正したと報じた。
レッドバーンは評価理由として、取引手数料への依存度が低下し、サブスクリプション収益やカストディ、USDC関連事業など収益源の多様化が進んでいる点を挙げている。
ステーブルコイン事業拡大も投資家に好印象
株価の上昇を支える背景には、ステーブルコインを中心とした成長戦略もある。
9月、コインベースはUSDCを活用したより利回りの高いDeFi(分散型金融)レンディングの開始、豪ドルに連動するAUDDやシンガポールドルに紐づくXSGDといったステーブルコインの新規上場、さらに「Google(グーグル)」や「Cloudflare(クラウドフレア)」とともにAIエージェントによるステーブルコイン決済を可能にする「x402財団」の設立など、精力的に事業を進めている。
加えて、米国証券取引委員会(SEC)がステーブルコインの規制枠組み整備を進めていることも、この分野でイニシアチブをとっているコインベースにとって追い風となり、投資家にとって好印象となっているだろう。
機関投資家の資金流入が成長を下支え
短期的な材料に加え、機関投資家の存在感も無視できない。コインベースは機関投資家向けサービス「Coinbase Prime(コインベース・プライム)」を通じ、資産保管だけでなく取引・ステーキング・融資までを統合的に提供するプラットフォームへ進化してきた。実際、2025年第1四半期の株主レターでは、平均運用資産(AUC)が2,120億ドル(約31兆2,700億円)に増加し、USDC残高も過去最高を更新したことが報告されている。こうした総合力が、プロ投資家からの支持を強めているといえるだろう。
コインベースの株価は、ステーブルコイン事業への積極的な取り組みや機関投資家による利用の増加といった中長期的な好材料に支えられ、今後も成長が期待される。加えて、ビットコイン上昇やレッドバーンによる格上げ評価といった短期的な材料も追い風となり、市場からの注目は今後も続きそうだ。
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