コインベース、英BVNK買収交渉を打ち切り──双方合意のもと白紙に

伊藤 将史
8 Min Read
Highlights
  • コインベース、英BVNK買収交渉を打ち切り、双方合意のもと白紙
  • ステーブルコインM&A活況の市場で、独占協議まで進んだ案件が中止
  • 決済強化を見据えた買収戦略の転機、今後の戦略調整が焦点

米フォーチュン誌は11日、米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースが、英国を拠点とするステーブルコインのスタートアップBVNKとの間で進めていた、約20億ドル(約3,087億円)規模の買収交渉を中止したと報じた。

ステーブルコインM&Aが活発化する中での協議が中止に

この交渉では両社が10月に独占交渉に入り、デューデリジェンスのプロセスに進んでいたと報じられている。

両社が交渉を中止した理由は明らかになっていないものの、コインベースの広報担当者はフォーチュンの取材に対して「BVNKの買収の可能性について議論した後、両当事者は前進しないことに相互に合意した」と述べた。なお、BVNKの広報担当者はコメントを控えている。

コインベースは、今年1月以降、暗号資産デリバティブ取引所デリビットの29億ドル(約4,476億円)の買収を含む、注目度の高い買収を続けてきた。

第3四半期の決算説明会において、「これらすべてのM&Aは、我々の中核である取引と決済の焦点に真に貢献するものだ」と宣言している通り同社は決済分野にも注力していたが、その大きな一歩となるBVNK買収は失敗に終わったようだ。

同社の他にも、フィンテック企業によるステーブルコイン企業の買収およびステーブルコイン事業への参入は近年のトレンドとなっている。

今年2月にはフィンテック大手のストライプが、ステーブルコインスタートアップであるブリッジを11億ドル(約1,698億円)で買収。BVNKの買収合戦にかつて参加していた決済大手のマスターカードは、現在は暗号資産インフラ企業ゼロハッシュと15億ドル(約2,315億円)から20億ドルでの買収交渉を進めているとフォーチュン誌は報じている。

また、10月にはモダントレジャリーがビームを約4,000万ドル(約62億円)で買収済みだ。DeFi(分散型金融)のアーベやモナドなども、独自のステーブルコイン戦略を進めている。

BVNKの買収は成立しなかったものの、コインベースは「取引と決済」を事業の中核に据えると宣言している。今後、別の企業の買収に乗り出すのか、あるいは自らステーブルコイン事業に取り組むのか、その動向が注目される。

関連:コインベースとマスターカード、英ステーブルコイン企業BVNKの買収で競合
関連:コインベース第3四半期決算、売上高は18.7億ドルと好調──前年比55%増

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=154.33円)

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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