暗号資産(仮想通貨)分析企業グラスノード(Glassnode)が25日に公表した週次オンチェーン分析によると、ビットコインはFOMC主導の上昇後に調整局面に入り、市場の疲労感が強まっている。長期保有者が340万BTCの利益確定を行う一方、ETF流入が減速し、短期保有者のコストベース111,000ドルが重要な支持レベルとなっている。
FOMC後の「噂で買い、事実で売り」パターン
117,000ドル近辺でピークを付けたFOMC主導の上昇後、ビットコインは教科書的な「噂で買い、事実で売り」パターンを示している。124,000ドルの史上最高値から113,700ドルまでの調整は8%にとどまり、過去サイクルの28%や60%の下落と比較して穏やかな水準だ。
実現時価総額が1.06兆ドルに到達
価格動向を超えて、資本投入の規模が注目される。古い供給をより高い価値で吸収するために投入された累積資本を測定する実現時価総額は、2022年11月以降3つの波で上昇し、総額1.06兆ドルに達している。
過去サイクルとの比較では:
- 2011-2015年:42億ドル
- 2015-2018年:850億ドル
- 2018-2022年:3,830億ドル
- 2022年-現在:6,780億ドル
現在のサイクルは既に6,780億ドルの純流入を吸収しており、前サイクルの約1.8倍の規模となっている。

長期保有者の大規模利益確定
今回のサイクルでは、長期保有者が340万BTCの利益確定を行っており、これは過去のサイクルを既に上回る規模だ。

また、今回のサイクルの流入構造は過去と大きく異なっている。過去サイクルが単一の長期間にわたる波動だったのに対し、今回のサイクルでは3つの明確な数ヶ月間の資本流入急増が確認されている。
実現損益比率の分析では、移動したコインに占める利益確定の割合が90%を超える局面が各波動のピークと一致しており、これらはサイクル的な天井を示す重要な指標となっている。
現在、このような極端な利益確定水準から3回目の離脱を迎えたばかりであり、歴史的なパターンに基づけば今後の冷却局面への移行確率が高まっていると分析される。

ETF流入とLTH売却の綱引き
このサイクルは、長期保有者(LTH)の供給放出と米国スポットETFや企業のデジタル資産戦略による機関需要の綱引きによって特徴づけられている。FOMC前後では、LTH放出が月間122,000BTCに急増する一方、ETF純流入(7日移動平均)は日量2,600BTCからほぼゼロまで急減した。

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デリバティブ市場でのストレス
先物市場では、ビットコインが113,000ドルを下回った際に建玉残高が448億ドルから427億ドルに急減し、レバレッジの巻き戻しが発生した。

永久先物の清算ヒートマップでは、114,000ドル-112,000ドルのブレイク時に密集したロングポジションが一掃され、大規模な清算が加速要因となった。

オプション市場で防御的ポジショニング
オプション市場では、スキューが急激に再評価された。FOMC後に一時均衡状態に近づいたBTCスキューは、20日金曜日(現地時間)に1週間物が約1.5%から17%に急上昇し、プットへの積極的な需要を示した。

総建玉残高は史上最高値付近で推移していたが、27日金曜朝(現地時間)の満期で大幅に減少した。現在市場はピークガンマゾーンにあり、小さな価格変動でもディーラーによる積極的なヘッジが必要となる構造となっている。

市場疲労の兆候が鮮明に
グラスノードの分析では、現在の8%調整は過去サイクルと比較して穏やかだが、6,780億ドルの資本流入という前サイクルの約2倍の規模の後に発生していることを指摘。長期保有者の340万BTC利益確定は、大規模な分散と上昇相場の成熟を示している。
供給を吸収してきたETF流入の減速により脆弱なバランスが生まれ、現物出来高の急増、先物のレバレッジ巻き戻し、オプション市場での下落リスク価格付けが同時に発生している。
短期保有者のコストベース111,000ドルが重要な支持レベルとなっており、この水準を維持できない場合はより深い冷却局面のリスクが高まると警告している。
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