11日、米ADPリサーチ・インスティテュートは、米民間企業が10月25日までの4週間で週平均1万1,250人の雇用を削減していたとの推計を発表。週次報告は10月後半の労働市場が前半に比べて失速したことを示しており、マーケットは米労働市場の冷え込みを懸念しているとみられる。
ADPは月次雇用統計を補完する役割として、今年10月から週次雇用統計の発表を開始。5日に発表されたADP雇用統計(月次)では、10月の民間雇用者数は4万2,000人増と報告していた。
アメリカでは過去最長となる政府機関の封鎖により、米雇用統計などの経済指標に遅れや見送りが発生しているため、ADP雇用統計のような民間の独自調査が注目を集めている。
また、米政府機関の再開に向けたつなぎ予算案は上院を通過。封鎖解除に向けては、下院で可決されたのち、トランプ大統領の署名を得なければならない。トランプ氏は法案に対して支持を表明しており、下院を通過できるかどうかがカギとなる。
共和党下院幹部のエマー議員の事務所は「下院は上院が可決したつなぎ予算案を12日に審議する見通しだ」と発表しており、早ければ東部時間午後4時(日本時間13日午前6時)に最初の表決が行われる可能性がある。
無事に成立すれば政府機関への資金拠出が再開されるため、遅延していた経済指標の発表も順次行われる見込みだ。
ビットコインは10万〜10万8,000ドルのレンジ継続

ビットコイン相場は依然としてレンジ相場が続いている。10日-11日はつなぎ予算案の上院通過を受けてリスクオンの動きが進み、上値の節目となっていた10万5,000ドルを突破。一時は10万7,500ドル付近まで上昇するも、壁が厚く105,000ドルのサポートまで戻される動きとなっていた。
しかし、11日のビットコイン相場は一変して下落の流れに。ADP雇用統計の結果を受けて、米労働市場の冷え込みによる景気の悪化を懸念したリスクオフの動きが強まったとみられ、政府機関封鎖解除の期待感による上昇を帳消しにした。
今後の展望としては、政府機関の封鎖解除に向けた下院の動きが焦点となる。しばらくは10万ドル-10万8,000ドルのレンジ内で推移することが予想されるため、レンジ内の節目となる10万3,000ドルや10万5,000ドルでの攻防は注視しておきたい。
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