エルサルバドルは7日(現地時間)、同国制定の「ビットコインデー」に合わせて21 BTCを追加購入した。
IMF合意下でも続くエルサルバドルのビットコイン購入
発表はナジブ・ブケレ大統領のX投稿によるもの。
エルサルバドルは2021年、世界で初めてビットコインを法定通貨に採用した国家である。現在は大統領直属の「国家ビットコイン事務局(National Bitcoin Office、ONBTC)」が準備金の可視化を担う。
今回の買い付け直後、ONBTCの公開ダッシュボードは政府準備金を「6,313.18 BTC、約7.01億ドル」と表示した。ブケレ氏の投稿に添付された画面でも同数値が確認できる。
一方で、中期の制度環境は課題が残る。2月には「国際通貨基金(IMF)」が、エルサルバドルに対し40カ月間で最大14億ドルを融資可能とする拡張信用供与取極(EFF)を承認した。このプログラムには、ビットコインの取り扱いに関する慎重姿勢が反映されており、政府による新規のビットコイン積み増しを制限する条件も含まれている。
それでもブケレ氏は、3月4日にXで「止めない」と投稿し、購入継続を強調した。政府ウォレットの残高も、合意後に積み増しが続いたことを示す。
運用面では、8月29日にONBTCが「準備金を複数の新規アドレスへ分散する」と発表。各アドレスは最大500 BTCに制限され、量子計算機リスクに備える取り組みだと説明された。公開ダッシュボードでは複数アドレスの合計残高を確認できる仕組みとなっている。
背景には、同国の恒常的な買い付け姿勢がある。ブケレ氏は2022年11月、「1日1 BTCの継続購入を開始する」とXで宣言し、その方針は現在も繰り返し強調されてきた。
以上のように、祝祭日に合わせた21 BTCの追加は象徴的である。ただし、IMFプログラムの条件と政府の購入方針との関係には論点が残る。引き続き、公式ダッシュボードと公的発表を基に動向を点検したい。
関連:エルサルバドル「ブケレ大統領」、ビットコインの運用状況を公開
関連:エルサルバドル『ビットコイン銀行』構想が具体化、議会が投資銀行法を55票で可決