精密金属プレス加工を主力とする東証スタンダード市場上場のASAHI EITOホールディングス(5341)は21日、暗号資産(仮想通貨)流動性提供事業を中核とするトレジャリー事業を開始すると発表した。最大約27億円を調達し、イーサリアム(ETH)とソラナ(SOL)に各約50%配分して分散型取引所(DEX)での流動性提供やステーキングを通じた収益化を図る。事業開始は12月を予定している。
過去数期の営業赤字で財務基盤強化が急務
同社は過去数期にわたり営業損失を計上しており、製造事業単体では十分な収益性を確保することが難しい状況だ。財務基盤の脆弱化や資本効率(ROE・ROA)の低下が課題となる中、手元資金の安定確保と収益源の多様化を図るため、暗号資産運用による安定的な財務収益を目指す。
同社は第三者割当による新株予約権の発行により最大約27億円を調達し、このうち26億8,200万円を運用費用及び戦略的投資費用に充当する予定だ。イーサリアム(ETH)約50%、ソラナ(SOL)約50%の配分で投資する。取得した暗号資産は金融庁登録の暗号資産交換業者または信頼性の高いカストディ業者を通じて安全に保管し、中長期保有型の安定運用を基本方針とする。
さらにETHおよびSOLを分散型取引所(DEX)上の流動性プールに預け入れ、取引の流動性を提供する代わりに、ユーザー間取引から発生する手数料やインセンティブ報酬を収益化する「LP事業」を展開する。
また、SOLへの投資の一部をソラナ基盤上の新興トークン「スマートポケット(SP)」に転換し、戦略的投資を行う。SPは市場規模が小さいため、戦略的投資枠の一部として限定的に保有する方針。同社は代表取締役直轄のもと、2025年11月中に「トレジャリー事業部(仮称)」を新設する。
今回の事業開始による当期業績への影響は軽微としているが、中長期的には運用収益や資産価値上昇を通じて企業価値向上に寄与する見込みとしている。
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