暗号資産(仮想通貨)市場を牽引してきたビットコイン(BTC)への関心が今、アルトコインへとシフトしつつある。複数のテクニカル分析や資金動向のデータは、アルトコイン市場が新たな上昇局面の入り口に立っている可能性を示しており、仮想通貨投資家の期待感を高めている。
テクニカルや資金流入が示す強気ムード
特に注目を集めているのがソラナ(SOL)だ。オンチェーンデータ分析企業の「glassnode(グラスノード)」は9日、ソラナが200ドルを突破したことで、無期限先物取引の建玉が70億ドル(約1兆円)を超えたと公式Xで報告している。
建玉の増加はトレーダーが積極的にポジションを取っている証拠と言える。さらに、この影響による大規模な資金流入はソラナエコシステム全体への関心につながる可能性が高い。現物市場の動きと連動する形で現状の勢いが継続すれば、さらなる価格上昇が期待できるだろう。
上位10銘柄を除くアルト群、テクニカル的な強さを発揮
アルトコイン全体としても強気シグナルが点灯している。仮想通貨インフルエンサーのCrypFlow氏は10日、上位10銘柄を除くアルトコインの3日足チャートにおいて、50日単純移動平均線が200日単純移動平均線を上抜けしたことで、今サイクルで2度目のゴールデンクロスが出現したと指摘する。
同氏によると、前回ゴールデンクロスを形成した際は、2024年3月にかけて急激な上昇を見せたという。長期チャートにおけるゴールデンクロスは、短期足と比較しても非常に強い上昇シグナルとなる。前回と同様の動きが繰り返されれば、今後アルトコイン市場全体が大きな上昇局面を迎える可能性が高いだろう。
BTCドミナンスは横ばい状態、アルトコインが優勢
一方、オンチェーン分析企業「Swissblock(スイスブロック)」は、「BTCドミナンス」の動向に注目している。BTCドミナンスは、市場全体の時価総額に占めるビットコインの割合を示す指標だ。同社は9日、現在のBTCドミナンスが横ばいで弱い状態が続いていると指摘する。
一般的にBTCドミナンスが低下すると、市場の資金はアルトコインへと分散しやすくなる。しかし同社は「資金が適切にアルトコイン市場に循環するためには、ある程度ドミナンスの強さが必要」と指摘し、アルトコイン市場の活性化にはバランスが重要との見方を示した。
ソラナをはじめとする筆頭アルトコインへの資金流入や、テクニカル面でのポジティブなシグナルが相まって、投資家心理は前向きに傾きつつある。ビットコインが築いてきた市場基盤の上で、アルトコインがどのように存在感を拡大していくのか。今後訪れるであろう上昇サイクルに期待したい。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.31円)