BTC対応「Xapo Bank」デビットカードとは?特徴・注意点を解説

ヤマダケイスケ
48 Min Read

ジブラルタルの認可を受けた銀行が提供する、ビットコイン対応のデビットカード「Xapo Bank」。米ドル残高に対する高い利息や包括的な資産運用サービスなどを魅力としており、仮想通貨ネイティブユーザーからの注目を集めています。

この記事では、Xapo Bankの概要や競合にない強みはもちろん、利用時に必ず知っておきたい注意点についても徹底解説していきます。

Xapo Bankとは?特徴を解説

Xapo Bank公式サイト
運営会社Xapo Bank Limited とXapo VASP Limited(ジブラルタル)
対応通貨法定通貨:米ドル・英ポンド・ユーロ
仮想通貨:BTC・USDT・USDC
対応ネットワークBitcoin・Ethereum・Ton・Solana
発行形態バーチャルカード・物理カード(メタル製およびプラスチック製)
発行手数料無料
年会費1,000ドル
チャージ手数料SEPA送金(ユーロ建て):0.15ユーロ
FedACH入金(ドル建て):0.50ドル+取引額の0.1%
FedWire入金(ドル建て):20ドル+取引額の0.1%
仮想通貨:無料(ガス代を除く)
為替手数料無料
スマホアプリ対応対応あり
公式サイトhttps://www.xapobank.com
公式Xhttps://x.com/xapobankapp
公式Linkedinhttps://www.linkedin.com/company/xapobankapp

Xapo Bankのプレミアムデビットカードは、ジブラルタルに拠点を置く同名の銀行が提供するビットコイン対応のデビットカードです。

利用者は専用アプリに米ドルおよびビットコイン(BTC)をチャージすることで、グローバルに対応する商品・サービスの決済を進められます。

デビットカードの提供に加えて、Xapo Bankは預金からの効率的な利息獲得やビットコイン担保ローンなども提供しています。Xapo Bankアプリでは、米国株、株価指数、ETH、ADAの取引も時間制限なく可能です。

Xapo Bankの詳しい特徴については、ぜひ以下を参照してください。

二重の認可による運営の高い信頼性

Xapo Bankの大きな特徴は、規制当局からの二重の認可によって運営としての信頼性が高い点です。

1つ目は「ジブラルタル金融サービス委員会(GFSC)」という規制機関から銀行としての許可。2つ目は「仮想資産サービス提供者(VASP)」という、仮想通貨を扱う業者として正式に認可を受けています。

特に仮想通貨交換業者の中には、規制当局から認可を受けていない業者も少なくありません。こうした業者では資金管理の不透明さが懸念されており、万が一の際の保証を受けられないリスクが存在します。

その点、Xapo Bankはこうした懸念をクリア。銀行としての安定性と仮想通貨サービスにおける透明性で安全基準を満たし、規制された安全な環境下で資産管理を実施しています。

最大100万ドルまでのBTC担保ローン

Xapo Bankでは預け入れたビットコインを担保に、最大100万ドル(約1.5億円)を即座に借り入れできる「ビットコイン担保ローン」を提供しています。借入条件や手数料については以下のとおりです。

借入上限最大100万ドル
受取方法デビットカード・銀行振込・仮想通貨送金
受取期間即座に反映
返済期間30日・90日・180日・365日から選択可能
早期返済対応あり(ペナルティなし)
借入手数料負担なし
支払利息年率10.50%(変動制)
ドル円換算は2025年11月10日執筆時点(1ドル=153.8円)

預け入れたビットコインを売却する必要がないため、ビットコイン保有による価格上昇の恩恵を受けながら、住宅や事業資金に必要な現金を確保できるのがポイント。また、早期返済によるペナルティがない点、実質的なコストが利息のみという点も大きな魅力になっています。

LTVに応じたリスク管理ルール

LTV(Loan-to-Value)とは、担保価値に対する借入額の割合を示します。BTC担保の価値が下落し、LTVが65%を超えた場合、追加の担保を入金するか、ローンの一部返済が必要です。また、LTVが80%に達した場合、借入金を回収するためにXapo Bankがユーザーの担保を売却します。

ビットコインによる毎日の利息受け取り

Xapo Bankでは、特定の資産を預金することで、年利計算された利息を毎日ビットコインで受け取れます。

対象資産受け取れる利息(年利)利息の対象残高
米ドル3.5%上限なし
ビットコイン0.5%2 BTCまで

米国の一般的な銀行の平均的な利息と比べても、米ドルの利息は約10倍と極めて高い水準です。Xapo Bankは顧客資産を活用し、短期の米国債や質の高い流動性資産を使ってこの利息を実現しています。

一方、ビットコインの利息は米ドルよりも見劣りしますが、その分貸し出しやレバレッジをかけるといったリスクを伴う運用が不要な点が魅力です。他のサービスのようなロックアップがないため、必要であればいつでもビットコインを引き出すことができます。

デビットカード決済で最大1%のBTCキャッシュバック

対象となるすべてのデビットカード決済に対して、最大1%のキャッシュバックを受けられる点も特徴です。このキャッシュバックは決済時に使用した通貨にかかわらず、報酬はすべてビットコインで支払われます。

日常の高頻度なカード決済を通じて、意識せず自然にビットコインの保有量を増やせる点は大きな魅力です。ただし、決済場所や使用するカード種類により、以下のようにキャッシュバック率は異なります。

決済場所カード種類キャッシュバック率
ユーロ決済圏内すべてのカード種類0.2%
ユーロ決済圏外メタルカード1%
ユーロ決済圏外プラスチックカード・仮想カード0.5%

キャッシュバック計算と付与

キャッシュバックは最終的な請求額に基づいて計算されます。獲得したキャッシュバックは自動的に集計され、毎月5日にビットコインアカウントに対して付与される仕組みです。

外貨両替をはじめとした手数料が無料

Xapo Bankでは、カード利用時の手数料の多くが無料に設定されている点も特徴です。

特に外貨両替(FX)手数料が無料である点は、国際的な送金や資産の移動を頻繁に行う方にとって、従来の銀行サービスと比較して圧倒的な優位性をもたらします。その他の主要な手数料についても、以下のように一部無料となっています。

手数料例手数料負担
カード発行手数料無料(2024年9月以前の入会者は89ドル)
カード決済手数料無料
外国為替手数料無料
ATM引き出し手数料無料(月間100ドルまで、超過分は2%)

多くのデビットカード提供企業は、為替手数料や利用手数料といった細かな手数料から利益を得ています。その点、Xapo Bankはそれら手数料の多くを無料にすることで、「富裕層のグローバルなライフスタイル」に最適化された競争力の高い金融サービス提供を目指しています。

0.1%と低水準のBTC取引スプレッド

Xapo Bankはアプリ内にビットコイン取引機能を提供しています。この取引の特徴は、スプレッド(売値と買値の価格差)がわずか0.1%と業界でも低水準に設定されている点です。

この0.1%という水準は、機関投資家向けの大口取引で採用される低コストなレートに匹敵します。仮に10,000ドルでビットコインを購入した場合、各プラットフォームで受け取れるビットコイン量と実質的なコストには以下のような違いが生まれます。

プラットフォーム購入後のBTC受取量BTCのドル相当額(概算)取引費用(概算)
Xapo Bank0.09766595約9,990ドル約10ドル
Kraken0.09742154約9,965ドル約35ドル
Coinbase0.09717713約9,940ドル約60ドル
Amina0.09688384約9,910ドル約90ドル
Sygnum0.09737266約9,960ドル約40ドル
Revolut0.09678608約9,900ドル約100ドル

上記の比較表からも分かるとおり、Xapo Bankを利用すれば他のプラットフォームの最大1/10程度のコストでビットコインを購入できる可能性があります。

スプレッドが狭いほど、多くの資金を効率的に活用してビットコイン保有量を最大化できます。将来的なビットコイン価格上昇による恩恵を最大限に享受しやすくなる点は大きなメリットです。

取引コストは実質スプレッドのみ

Xapo Bankでは別途取引手数料を徴収しないため、スプレッドが実質的な取引コストになります。

永続的に報酬を得られる紹介プログラム

紹介リンクを使って友達招待を進めることで、紹介者と被紹介者の双方が永続的な報酬を受け取れます。

紹介プログラム報酬は、ビットコインで受け取り可能です。最初の1年(12ヶ月)では年間500ドル相当が用意され、毎月42ドル相当が継続的に付与。12ヶ月以降は、毎月4ドル相当が永続的に付与されます。

ただし、紹介者・被紹介者が報酬を受け取るためには、以下の要件を双方が満たす必要があります。これらの要件をひとつでも満たさない月があった場合、その月は報酬が支払われません。

報酬獲得の必須要件

  • メンバーシップ料金(年会費)が支払われていること
  • 5,000ドルまたはそれに相当するビットコイン残高を維持していること
  • Xapo Bankの制限対象地域に居住、または拠点を置いていないこと

紹介プログラムでは紹介人数上限が設けられていないため、要件を満たす友人が増えるほど紹介者の毎月のビットコイン収入は増加します。デビットカードの利用のみならず、サービスの拡散に貢献することでも経済的な恩恵を受けられる点がXapo Bankの魅力のひとつです。

遺産継承のための受取人機能を実装

Xapo Bankのスマホアプリには、ビットコインや法定通貨の遺産継承を可能にする機能が実装済みです。

特にビットコインを含む仮想通貨は、当人の死後に家族が資産にアクセスできなくなる「デジタル遺産」のリスクが指摘されています。これには、秘密鍵の紛失やアクセス手段の複雑さが大きく影響しています。

Xapo Bankの受取人機能を活用すれば、設定画面から手軽に受取人を追加・指定することが可能です。資産全体、またはその一部を受取人ごとにパーセンテージで割り当てるなどの調整にも対応しています。

また、受取人設定の追加や変更を行う際には、PINや生体認証による厳重なセキュリティ確認を実施。第三者によって不正な変更が行われないよう、利用者の意思が安全に保護される仕組みになっています。

Xapo Bankを利用する際の注意点

日頃の決済だけでなく資産運用にも強みを持つXapo Bankですが、実際に利用するうえで押さえておくべき注意点があります。以下で詳しく解説しますが、特にコスト面・保証面に関しては必ず目を通しておいてください。

年会費1,000ドルと競合と比べても高め

Xapo Bankを利用する上で最初に考慮すべきは、年会費が1,000ドル(約15万円相当)と高額である点です。デビットカード自体の利用頻度が低い方にとっては、この年会費はかなり割高と感じるでしょう。

以下は、Xapo Bankのプレミアムデビットカードと競合の仮想通貨デビットカードの年会費を比較したものです。

デビットカード年会費
Xapo Bank1,000ドル(約15万円)
RedotPay無料
Tria※20〜225ドル(約3,000〜3.4万円)
KAST※無料〜10,000ドル(約150万円)
※カード種類で異なる

しかし、仮に米ドルで預金し利息3.6%を受け取った場合、単純計算で年間約28,000ドル(約430万円)以上の残高があれば、年会費1,000ドルを利息収入で相殺できます。資金力のある方であれば、こうした対応策で年会費のカバーは可能です。

高額な年会費は、優遇された米ドル預金利息や極めて低い取引スプレッド、そして何よりもGFSCからの銀行認可という極めて安全性の高い運営基盤へのアクセス料金と考えるべきでしょう。

仮想通貨は預金保証制度の対象外

Xapo Bankは預け入れた資産に応じて、万が一の保証範囲が異なる点にも留意しておく必要があります。以下のとおり、法定通貨や株式証券は保証の範囲ですが、仮想通貨に関しては保証対象外です。

通貨・証券保証額
法定通貨最大10万ユーロ(約1776万円)
※ジブラルタル預金保証制度
株式証券最大2万ユーロ(約350万円)
※ジブラルタル投資家補償スキーム
仮想通貨保証なし
ドル円換算は2025年11月10日執筆時点(1ユーロ=177.6円)

このため、Xapo Bankが破綻するなどの予期せぬ事態が発生した場合、預けている仮想通貨は公的制度の補償を受けられません。このリスクを理解したうえで、仮想通貨の預け入れは自己責任で進めてください。

保証がない分セキュリティを強固に

Xapoは仮想資産サービスプロバイダーとして規制を受けており、一般的な未認可の仮想通貨交換業者よりも厳格な運営ルールの遵守が義務付けられています。

同社はハッキング等のセキュリティリスクに対応するため、仮想通貨をネットワークから切り離した体制で管理。秘密鍵に関しては最新技術で細分化・分散保管して安全性を高めています。

一部の取引はキャッシュバック対象外

Xapo Bankの魅力であるキャッシュバックは、全てのカード決済や取引で得られるわけではありません。以下カテゴリーでの取引については、公式サイトでキャッシュバックの対象外として明記されています。

キャッシュバック対象外の取引例

  • 現金同等物:外貨、郵便為替、トラベラーズチェック等
  • 金融サービスおよび送金:ATMでの現金引き出し、銀行振込、有価証券の購入等
  • ギャンプルおよびゲーム:賭博、カジノ、宝くじ等
  • 政府への支払いおよびサービス:税金、裁判費用、罰金、郵便サービス等
  • ハイリスクまたは厳しく規制された産業:保険、債権回収、タイムシェア、政治団体等

もう一点注意しておきたいのが、返品・キャンセル時の対応です。この際仮に返金を受けた場合、購入時に得たキャッシュバックは残高から差し引かれます。

ただし、為替レート変動の影響により、差し引かれるキャッシュバック額が元のキャッシュバック額と異なるケースがある点も理解しておいてください。

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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