トランプ米大統領が株式の過半数を所有するメディア企業トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG、ナスダック・NYSEテキサス:DJT)は7日、2025年第3四半期(7-9月期)決算を発表した。トゥルース・ソーシャル、トゥルース・プラス、トゥルース・ファイを運営する同社は、約5,480万ドル(約84億円)の純損失を計上した一方で、金融資産は約31億ドル(約4,700億円)に達し、2四半期連続で営業キャッシュフローが黒字を達成した。
非現金損失と法務費用が損失の主因
純損失約5,480万ドルのうち、約5,410万ドルは非現金損失が占めている。内訳は、デジタル資産の公正価値変動、非現金の利息費用、株式報酬費用、トレーディング証券および未満期オプション契約の未実現損失、減価償却費などである。
法務費用は約2,030万ドル(約31億円)で、主に2024年のSPAC(特別買収目的会社)合併関連の訴訟対応に充てられた。同社は「SPAC案件としては歴史上最長級の取引となり、多額の法務費用が発生した」と説明している。
第3四半期にはデラウェア州衡平法裁判所がユナイテッド・アトランティック・ベンチャーズによる8つの請求すべてを棄却するなど、複数の法廷で勝訴している。
ビットコイン戦略で収益、営業キャッシュフローは黒字
同社は第3四半期にビットコイン関連証券のオプションプレミアムで約1,530万ドル、短期投資の利息収入で約1,340万ドルを獲得。2025年1-9月期の合計は約6,110万ドルとなった。営業キャッシュフローは約1,010万ドルの黒字で、2四半期連続のプラスを記録している。
デビン・ヌーネスCEOは「2024年3月の上場時に2.74億ドルだった金融資産が、2025年9月には31億ドルに成長した。わずか1年半で素晴らしい進展だ」と述べ、M&A戦略の実行準備が整ったことを強調した。
暗号資産戦略の新展開として、同社はクリプト・ドットコムと戦略的提携を締結。現金約5,000万ドルと株式約4,700万ドルで、約6.844億CROを購入した。CROはトゥルース・ソーシャルとトゥルース・プラスのリワードシステムに統合され、ステーキングによる追加収益も見込まれる。
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さらに、ヨークヴィル・アクイジション・コープおよびクリプト・ドットコムと最終契約を締結し、CROに特化したデジタル資産財務企業「トランプ・メディア・グループ CROストラテジー」への少数持分を保有。同社が上場すれば、世界初かつ最大のCRO財務企業となる見通しである。
第3四半期には、トゥルース・ソーシャルにパープレクシティ搭載のAI検索機能「トゥルース・サーチ」を導入。トゥルース・プラス有料会員向けには投稿編集機能やスケジュール投稿機能を追加した。
また、トゥルース・ジェムズと呼ばれるポイントシステムを導入し、ユーザーはアクティビティを通じて獲得したジェムズをクリプト・ドットコムのウォレット経由でCROに換金できる。同社は10月にトゥルース・ソーシャル上で予測市場機能「トゥルース・プレディクト」を発表しており、CROを活用した予測契約の購入も可能になる予定だ。
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トゥルース・プラス・ストリーミング・プラットフォームは、英国の人気ニュース番組GBニュースやファミリー向けコンテンツを拡充。iOS、アンドロイド、アップルTV、ロク等での視聴にも対応した。
同社は2025年中に金融サービスブランド「トゥルース・ファイ」のローンチも予定している。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=153.05円)




