TONストラテジー、ナスダック上場規則違反で警告──上場廃止は回避

ヤマダケイスケ
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

TON(トンコイン)の財務戦略を推進するTON Strategy Co.(トン・ストラテジー)が10月28日、米ナスダック上場規則に違反したとして、同取引所から譴責(けんせき)書を受け取っていたことが明らかになった。

PIPEとTON購入契約で要件を満たさず

問題となったのは、トン・ストラテジーが8月7日に実行した「PIPEファイナンス(特定の投資家への株式発行による資金調達)」および、それに付随する約2億7,270万ドル(約420億円)規模のトンコイン購入契約だ。ナスダックはこの取引が上場規則で定める「株式承認の要件」を満たしていなかったとしている。

PIPEファイナンスの完了に伴い、トン・ストラテジーでは新たなエグゼクティブ・チェアマンが就任。自身が関与する関連企業を通じて普通株式の約19.99%を取得した。ナスダックはこれが実質的に「支配権の変更」にあたる可能性があるとし、規則に基づく事前の株主承認が必要であったと指摘している。

また、PIPE資金調達額の約48.78%がトンコイン購入に充てられ、これが株式発行前の発行済み株式総数の数倍に相当していた点も問題視された。ナスダックの規則では20%を超える新株発行を行う場合、株主の承認が義務付けられているため、この点でも同社は事前承認を怠ったとされている。

トン・ストラテジー側は、取引実行時に外部アドバイザーの助言を受けており、規則を遵守していたとの認識だったと釈明している。これに対してナスダックは意図的な違反ではなかったこと、また同社が過去に同様の違反を繰り返していない点を考慮し、上場廃止ではなく譴責書の発行という軽い措置にとどめた。

トン・ストラテジーは今回の指摘を受け、ナスダックと協力して上場規則の遵守を徹底する方針を示している。今後、同社が信頼回復に向けてどのように透明性を高めていくかが注目されそうだ。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=154.5円)

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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