セイラー氏「ビットコイン年29%成長」予測──21年間でデジタル資本確立

JinaCoin編集部
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Coin Stories ポッドキャススより引用

ビットコイン投資企業「Strategy(ストラテジー)」の共同創業者・現会長のマイケル・セイラー氏は20日に公開されたポッドキャストで、ビットコイン市場が現在「統合フェーズ」にあるとの見方を示した。初期保有者が一部現金化を進める一方で、機関投資家はボラティリティの低下を待って参入を控えていると説明し、今後21年間でビットコインは年平均約29%の成長を遂げると予測した。

1870年代の石油精製になぞらえ、ビットコイン産業は多様な展開を見せると予測

セイラー氏は、短期的な売り圧力が続く要因として「保有者が資産を担保に融資を受けられない」点を指摘。ビットコインを多く保有していても現金が不足すれば売却に踏み切らざるを得ず、それが市場供給を生んでいると述べた。そのうえで、ビットコインは長期的に「デジタル資本」として確立し、信用市場の基盤となり得るとの見解を示した。

同氏はまた、既存の信用市場が抱える課題にも言及した。国債や社債は利回りがインフレ率を下回る水準にとどまり、実質的には投資家に十分な収益をもたらしていない。さらに、これらの金融商品は流動性に乏しく、売買が難しい場合も多いと指摘した。こうした「低利回り・低流動性」の環境を「不健全」としたうえで、ビットコインを担保とする信用商品ならば解決策になり得ると述べた。

ストラテジー社は、既存市場における問題への解決策として、ビットコインを担保とした新たな信用商品を発行している。具体的には「Strike」「Strife」「Stride」「Stretch」という4種類の優先株を展開し、配当水準や優先順位などを調整することで柔軟に設計を行いながら、過剰担保によってリスクを抑制し、高利回りを実現している。セイラー氏は「ビットコインにキャッシュフローを与える」と強調した。

同社は現在、格付け機関からの「投資適格」評価を目指している。実現すれば、ビットコインを基盤とする金融商品の信頼性が一段と高まり、伝統的な資本市場への組み込みが進む可能性がある。

さらにセイラー氏は、2025年から2035年を「新しいビジネスモデルと企業が乱立する混沌の10年」と位置づけ、多くの成功と失敗を経て新産業が形成されると展望した。その例として、1870年代の石油精製業の発展を引き合いに出し、灯油からガソリン、さらに化学製品へと用途が広がった過程を説明。ビットコインも同様に、多様な金融商品やビジネスモデルを生み出すと語った。

石油精製から石油化学へと用途が広がった19世紀後半の産業史と同様、ビットコインもまだ初期段階にある。担保資産としての利用が信用市場に浸透すれば、その周辺に多様なビジネスが派生し、新しい金融エコシステムが形成される可能性が高い。市場は混沌とするが、長期的には産業の裾野拡大につながるだろう。

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