金融庁が月内にも「JPYC株式会社」を資金移動業者として登録し、同社が今秋にも日本初の円建てステーブルコイン「JPY Coin(JPYC)」を発行開始する見通しであると、17日に日本経済新聞が報じた。
この報道を受け、JPYC社の代表取締役である岡部典孝氏は18日、紙面を引用して自身のXで、「朝から日経1面ど真ん中にJPYCの文字が大きく出ています!」とコメントし、報道内容を事実上認めた。
改正資金決済法後、初の「電子決済手段」として誕生
2023年6月に施行された改正資金決済法により、日本国内でのステーブルコインは法的に「電子決済手段」と定義され、発行や流通に関するルールが整備された。今回のJPYCは、この新しい枠組みのもとで発行される初の事例となる見込みだ。
電子決済手段は、発行体のライセンスによって分類される。JPYC社が登録を目指しているのは「資金移動業」のライセンスであり、これが認可されれば、同社は「1号電子決済手段」としてJPYCを発行することが可能になる。
資金移動業とは、銀行以外で送金サービス(為替取引)を行う事業者ライセンスのことだ。報道によれば、JPYC社は1件あたり100万円以下の送金が可能な「第二種資金移動業」の登録を進めているという。
このライセンスを取得し、JPYCが「電子決済手段」として発行されることで、これまで法律上の位置付けが曖昧だった前払式支払手段としてのJPYCとは異なり、1JPYC=1円として日本円との等価交換(償還)が法的に保証されることになる。
また、JPYC社は今後、海外で発行されたステーブルコインとの交換サービスなどを可能にする、「電子決済手段等取引業」のライセンス取得も目指しているとしている。
国内初の規制に準拠した円建てステーブルコインの誕生は、日本のデジタル金融市場にとって大きな一歩となる。決済や送金、DeFi(分散型金融)など、様々な分野での活用が期待され、今後の動向に大きな注目が集まる。
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