ビットコイン保有計画に続く発表も、株価は発表前の水準に戻る
東証スタンダード上場の「クオンタムソリューションズ株式会社(証券コード:2338)」は28日、連結子会社である「GPT Pals Studio(GPTパルススタジオ)」を通じて、新たに開始した暗号資産(仮想通貨)投資事業に関して、デジタル資産サービスプロバイダーの「TDX Strategies(TDXストラテジーズ、以下TDX社)」と業務提携契約を締結したと発表した。
クオンタムソリューションズは、今月23日に連結子会社が仮想通貨投資事業を開始し、今後12ヶ月で最大3,000 BTCの保有を目標とすることを発表したばかり。その初期投資として、上限1,000万ドル(約14.8億円)の資金を借り入れ、全額をビットコインの購入に充当するとしていた。
クオンタムソリューションズが提携先として発表したTDX社は、英領バージン諸島を拠点とするデジタル資産サービスプロバイダーとのこと。発表によると、TDX社の創業者でCEOを務めるディック・ロー氏は大手金融機関で20年以上のデリバティブ取引経験を持ち、チームの多くも伝統的金融機関の出身者で構成されているという。
同社は、ビットコインやイーサリアムなど主要な仮想通貨で構成される「CoinDesk 20」インデックスに連動する金融商品など、リスク管理を重視したプロダクトを富裕層や機関投資家向けに提供しているとされる。
今回の提携により、GPTパルススタジオは、TDX社からビットコインの財務管理に関するアドバイザリーやトレーディングサービス、サイバーセキュリティおよびカストディに関する技術的専門知識、元本保護型の仕組み商品を含む財務管理ソリューションなどの提供を受けることになる。
提携の背景にある関係性
クオンタムソリューションズは、TDX社を提携先とする理由として、プレスリリースにおいて以下のような説明をしている。
TDX社は、2025年7月23日付当社の適時開示「連結子会社による資金の借入に関するお知らせ」にも登場している当社の連結子会社であるGPT Pals Studio Limitedに最大10,000,000米ドルを融資したIntegrated Asset Management(Asia) Limitedの唯一の所有者である任德章氏から株式投資も受けています。こうした任氏による当社グループに対する暗号資産事業への融資とTDX社に対する投資を鑑み、当社はTDX社を本件業務の提携先として信頼を置けることに至っています。
今回業務提携相手となったTDX社、そしてビットコイン保有事業に伴う資金調達先である「Integrated Asset Management(Asia)Limited(インテグレイテッド・アセット・マネジメント・アジア)」は、どちらも任德章なる人物の関連企業のようだ。
なお、一連の発表を受けて同社の株価も大きく変動している。

まず、同社の株価はビットコイン保有を発表した23日の前日である22日に突如急騰(この原因は不明)。発表が行われた23日にも高騰し、一時556円まで上昇したが、その後は続落していた。今回の業務提携は、このビットコイン投資事業を本格化させるための動きと見られるが、発表後も株価は軟調に推移し、本稿執筆時点では22日以前の水準である488円前後となっている。
日本企業によるビットコイントレジャリー事業への参入事例の一つとして、今後も同社の動向と株価を注意深く見守りたいところだ。
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