メタプラネット、新株予約権の潜在株式数を半減──リファイナンスで既存株主への配慮強化

水澤 誉往
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Highlights
  • - メタプラネットは既存新株予約権を取得・消却し、新たに第23・24回新株予約権210,000,000株分を発行するリファイナンスを決議
  • - 潜在株式数は約4億株から約2億株へ半減し、希薄化率は18.38%に低下、普通株式による希薄化リスクを大幅に抑制
  • - 行使価額修正方式を日次修正へ変更し、毎取引日に直前取引日の終値100%へ修正する既存株主に配慮した設計に転換

ビットコイン投資企業のメタプラネット(東証スタンダード:3350)は20日、取締役会において既存の第20回乃至第22回新株予約権の全残存分を取得・消却し、新たに第23回及び第24回新株予約権を発行する「リファイナンス」を決議した。同社が同日付で発表したTDnet文書によると、本リファイナンスにより潜在株式数は398,440,000株から210,000,000株へと約188,440,000株減少し、発行済株式総数1,142,274,340株に対する希薄化率は34.88%から18.38%へ半減する。

既存新株予約権の取得・消却は2025年12月8日に実施され、取得総額は約3億8,022万円だ。内訳は第20回新株予約権284,400個(1個につき114円、総額3,242万1,600円)、第21回新株予約権1,850,000個(1個につき99円、総額1億8,315万円)、第22回新株予約権1,850,000個(1個につき89円、総額1億6,465万円)となる。同社は11月20日付で割当先であるEVO FUNDに行使停止を要請しており、11月28日以降は行使が停止される見通しだ。

新株予約権は日次修正方式で発行

新たに発行される新株予約権は第23回1,050,000個(1個につき23円)と第24回1,050,000個(1個につき14円)の計2,100,000個で、発行総額は3,885万円である。各新株予約権は1個につき普通株式100株に相当し、合計210,000,000株の潜在株式数となる。行使期間は2026年1月5日から2027年12月8日まで。

当初行使価額は第23回が637円、第24回が777円に設定された。下限行使価額も同額で、いずれも上限は設けられていない。

最大の特徴は行使価額修正方式の変更だ。従来の「3取引日毎に直前3取引日の終値平均に基づき修正」する方式から、「毎取引日に直前取引日の終値100%に修正」する日次修正方式へ移行する。同社は「当社株式の取引をより活性化させる目的で、既存株主にとって従来方式よりさらに明瞭と考えられる日次修正方式への移行を決定した」と説明している。日次修正方式ではディスカウントが行われないため、市場株価から乖離が少ない価額での行使が期待され、既存株主への影響を最小限に抑える設計となっている。

本リファイナンスの背景には、同社が10月28日に公表した「キャピタル・アロケーション・ポリシー(資本配分方針)」がある。同方針はmNAV(企業価値÷BTC時価純資産)が1倍を下回る局面では普通株式による資金調達を抑制し、優先株式の発行を優先するという基本原則を定めるものだ。同社は同日、この方針に基づきB種優先株式212億円の発行も決議している。

同社株価は足元で世界的なビットコイントレジャリー企業の株価調整局面の影響を受け、mNAVが1倍を下回る局面が見られた。同社は「現状のmNAV水準においては、普通株式による資金調達よりも優先株式の発行を優先すべきと判断した」とし、今後は普通株式による調達を一定程度抑制する方針である。

もっとも、優先株式の上場には東京証券取引所との事前相談及び上場審査を経る必要があり、審査結果次第では上場が認められない可能性もある。このため中長期的な資本構成の転換を見据えつつも、足元では優先株式と普通株式を併用し、市場への影響を最小限に抑えた形でビットコイン取得資金を確保する必要があるとの判断に至った。

同社のBTC保有量は2024年末の1,761BTCから2025年11月19日時点で30,823BTC(時価約4,400億円)へと大幅に増加している。新株予約権が全て行使された場合の想定調達資金総額は約1,479億2,485万円で、資金使途はBTC購入費約1,317億8,200万円、BTCインカム事業約146億4,200万円、運転資金約15億円を予定している。

関連:メタプラネット株価:FOMA利下げ見送りの影響か?反発急騰し下落リスク軽減──388円突破で上昇の波に乗れるか【2025年11月20日チャート分析】

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株式会社jaybe 代表取締役。香川県三豊市出身。2010年4月、株式会社一誠社入社。2011年よりFX取引を開始。2016年3月30日、bitFlyer代表取締役社長・加納裕三氏が出演する動画で仮想通貨に興味を持ち、 1BTC価格47,180円で0.02BTCを購入したことが仮想通貨投資の始まり。2017年11月、仮想通貨投資で身に付けた知識・経験を活かし、自身初のブログ「次男坊の仮想通貨な日」を立ち上げ。2018年4月、JinaCoinの前身である「ジナキャッシュ」開設。2019年10月、収益の安定化に成功し、株式会社一誠社を退職、個人事業主として独立。2020年6月、事業拡大に伴い、株式会社jaybe(法人番号:7470001018079)を創業。 2023年、メディアの名称を「JinaCoin」に変更。月間15万PVを超える仮想通貨情報メディアに成長させる。現在は仮想通貨投資を行う傍ら、仮想通貨の普及活動やマーケットリサーチ等を行なっている。2024年6月、一般社団法人 日本クリプトコイン協会の「暗号通貨認定アドバイザー」資格を取得。仮想通貨投資活動:現物保有・デリバティブ取引・DeFi運用・エアドロップ活動。好きな銘柄:ビットコイン。著書:海外FXのはじめ方完全ガイド。WEB取材:凄腕FXトレーダーへインタビュ ー!vol.8=TitanFX。趣味:投資全般・SEO・読書
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