一般社団法人InnoDrops(イノドロップス、佐賀県唐津市)は2026年3月、DAO(分散型自律組織)とWeb3技術を融合した起業家教育プログラム「SAND lab 2025」の成果を発表した。同プログラムは三菱みらい育成財団の助成を受け、2025年11月から2026年2月にかけて実施されている。
DAO上で意思決定を可視化、中高生が「社長」として指揮
SAND labは、参加する中高生をバーチャル株式会社の社長に据え、地域企業やエンジニアとチームを組んでプロダクト開発に取り組む構成だ。DAOプラットフォーム上でトークン比率を設定し、大人側ではなく学生側に意思決定権を持たせた点が特徴である。
2025年度の参加者は計17名(中高生7名、地域企業担当者2名、エンジニア3名、大学生伴走サポーター5名)。3社のバーチャル株式会社が創設され、プログラム期間中に株式会社設立やアプリ開発承認、ユーザビリティ検証承認、EXIT意思決定など計12回の重要な意思決定が行われた。

交換日記アプリが就労支援施設へ事業譲渡
3社のうち「バーチャル株式会社スリーライス」が開発した交換日記アプリ「Break Isolation」は、孤独の解消を目的とした心理的安全性の高いコミュニケーションツールである。ユーザー価値が認められ、佐賀県の就労継続支援B型事業所「GENIUS(ジーニアス)」へ正式に事業譲渡された。中高生が開発したプロダクトが実社会で活用されるケースとして注目に値する。
残る2社も、チャレンジ支援アプリ「KIKKAKE」やストレスコーピングアプリ「魔法の鏡水族館」を開発し、それぞれユーザー検証を重ねた。
NFT修了証明書をIPFSに記録
EXITの成否にかかわらず、全修了生に対して活動履歴を改ざん不可能な状態でIPFS(分散型ストレージ)に記録した「修了証明NFT」が発行された。個人の意思決定プロセスをオンチェーンで資産化する試みであり、InnoDropsは今後、経験値が蓄積・活用できるウォレットアプリの開発にも着手する方針を示している。
2026年度はSAND lab 2026プログラムの実施に加え、唐津市にものづくり拠点「SAND lab KARATSU」を開設済みで、3Dプリンターやパソコンを活用した社会起業の場として運営を開始した。



