分散型デリバティブ取引所dYdXは28日、10月10日から11日にかけて発生したチェーン障害の影響を受けたユーザーへの補償方針を発表した。
補償総額は約46万2,000ドル(約7,000万円)で、プロトコル保険基金(総額約1,600万ドル)の2.85%に相当する。ガバナンスコミュニティによる承認が前提となるが、承認されれば保険基金から補償が実施される見込みだ。
清算処理の順序エラーでチェーン停止
今回の障害は、独立市場での清算時における担保プール移転の処理順序エラーが原因だった。保険基金には損失をカバーするのに十分な資本があったにもかかわらず、このエラーがプロトコルレベルのフェイルセーフを作動させ、システムの整合性を維持するためチェーンが一時停止した。
障害は米国東部時間10月10日午後5時35分頃に発生し、翌11日午前1時41分に通常運転を再開した。
チェーン再開後、一部のバリデーターがオラクルサイドカーサービスを再起動していなかったため、古い価格データが残存した。その結果、マッチングエンジンが誤った価格で取引や清算を処理する事態が発生した。
補償対象期間は、10月10日21時52分22秒UTC(オラクル価格の不整合が発生した時点)から10月11日5時35分UTC(オラクルが修正された時点)までとなっている。
ユーザーサポートチームが全取引を精査
dYdXコミュニティのユーザーサポートチームは、X(旧Twitter)、Discord、dydx.tradeのインターカムサポートプラットフォームを通じて影響を受けたトレーダーと直接連絡を取った。
チームは障害期間中に影響を受けたすべての取引を徹底的に調査し、古いオラクル価格データによって誤った執行価格で取引された案件を特定。他の取引所の正確な市場価格で執行された場合の結果を算出し、補償額を決定した。
根本原因は修正済み、再発防止策も実施
障害の根本原因はすでに修正されている。清算と担保移転のシーケンスが修正され、操作順序チェックと自動テストが追加された。
dYdXは現在、オペレーションサブDAO、財団、バリデーターと協力してインシデント対応を合理化し、調整時間を短縮する取り組みを進めている。将来のイベント発生時には、より迅速で信頼性の高い復旧を目指す。
dYdXは声明で「過去8年間、dYdXは信頼され、レジリエンスのあるDeFiプラットフォームとしての評判を築き、最近では総取引高が1.5兆ドルを超えた。今回のような事態は、透明性、信頼、積極的なコミュニケーションの重要性を再確認させるものだ」と述べた。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=152.42円)




