ビットコイン・アルトコインは引き続き軟調。ネガティブな材料が続出し、仮想通貨市場は緊張に包まれている。目立った材料もない中、アルトコインが重要なサポートを回復できるかどうかが今後の展開を握る。
ビットコイン、10万6,000ドルラインをかろうじて維持
週末にやや持ち直していたビットコインだが、月曜日は再び軟調な地合い。

日本時間4日午前0時過ぎには重要なサポートとして意識される10万6,000ドルラインを一時割り込んだが、そのご反発し、現在はかろうじてライン上で推移している。
とはいえ、ここからさらに上を目指す燃料に乏しく、戻りは限定的。値ごろ感で買いが入っても戻り売りが発生しやすい局面だ。

清算ヒートマップを見ると、10万8,000ドル付近に中規模の流動性クラスターが形成されており、ここを明確にブレイクできるかどうかが投資家心理の改善に直結しそうだ。
10万5,000ドルにもクラスターが形成されているが、そこから下は買い板が薄いため、下方向へブレイクした場合は価格が下支えされにくい状況だ。
ISM下振れ・石油増産停止などが市場を圧迫
3日は、複数の悪材料が市場を圧迫した。まず3日午前1時から行われたOPEC閣僚会議では、来年1-3月の石油増産一時停止を表明。石油価格上昇によるインフレ懸念が高まり、リスク市場に緊張が走った。
さらに、同日24時に発表されたISM製造業景況指数は48.7と市場予想の49.5から大きく下振れ。仕入れ価格の上昇はやや緩和されたものの依然高水準、かつ生産力の低下や納期の遅れが深刻化。加えて、雇用の小幅な改善が見られたことで米金利の追加利下げに対する期待がさらに後退した。
また同日、DEX(分散型取引所)の「Balancer(バランサー)」が大規模なハッキングを受け、約1億1,660万ドル(約180億円)相当の資産が流出した事件も、仮想通貨市場全体の緊張感を高める要因になっているとみられる。
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アルトコイン、軒並みサポート割れ 地合いの弱さ鮮明
主要アルトコインはビットコイン以上に地合いが弱い。

イーサリアムは約3週間にわたって意識されてきた3,700付近のサポートを明確にブレイク。現在はレジスタンス転換を試す展開となっているが、ここで上抜けに失敗すれば、本格的な下落トレンドへ移行する可能性が高い。
ソラナ・XRPも同様に重要なサポートを割れており、ライン上への復帰に失敗した際は更なる下落への警戒が必要だ。直近ではこのサポート付近の攻防が、今後の展開を左右するカギとなるだろう。

BTCドミナンスは3日午前以降、上昇の勢いが加速。アルトコイン市場からの資金流出が進行しており、リスクオフの動きが明確化している。直近では、マクロ経済環境の悪化や地政学リスクの高まりなど、リスク資産にとって不利なニュースが相次いでおり、特にアルト市場がその影響を強く受けている状況だ。
今後市場のセンチメントが回復するためには、仮想通貨関連規制の明確化、ETFの承認、米国債長期金利の低下などの、大きなインパクトが必要かもしれない。
本日は材料難もガザ停戦協議で市場変動の可能性
本日は仮想通貨市場の展開を左右するような目立ったイベントは予定されていない。ただ、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が主催する、ガザ停戦をテーマに議論する閣僚会議が本日中に行われる予定で、ヘッドライン次第では市場が大きく動きだす可能性もある。
ビットコイン・主要アルトコイン共に本日も軟調な展開が予想される。特に主要アルトコインはすでに重要なサポートラインをブレイクしており、いつ急落が起きてもおかしくない状況。相場を左右する目立った材料にも乏しいため、無闇なトレードは控えた方が賢明だ。
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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=154.0円)




