CFTC、来月にもDCMで暗号資産現物取引を解禁へ──複数取引所と協議進む

ヤマダケイスケ
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
Highlights
  • 米CFTCのキャロライン・ファム氏、規制対象の取引所で個人向け暗号資産現物取引商品の立ち上げを推進
  • 新法を待たず既存権限で市場整備を進め、米国投資家保護と規制強化を両立する狙いに注目
  • DCMの参入が想定され、コインベースなど主要取引所の参加可能性が浮上

米商品先物取引委員会(CFTC)の暫定責任者であるキャロライン・ファム氏が、暗号資産(仮想通貨)現物取引をめぐり、規制対象の取引所と個人的に協議を進めていることが9日、コインデスクの報道で明らかになった。関係者によると、ファム氏は個人投資家向けの暗号資産現物商品を立ち上げるよう複数の取引所に働きかけているという。

法律制定を待たず、CFTCの既存権限で市場整備

関係者の情報によると、ファム氏は早ければ来月にも取引開始が可能になるよう、規制対象の取引所と協議を進めているという。同氏はCFTCの監督下にある「指定契約市場(DCM)」を活用し、暗号資産現物商品を正式に提供できる仕組みを整える狙いのようだ。

この狙いの特徴は、議会による新たな法律の制定を待たず、CFTCがすでに保有している「証拠金を伴う商品取引は規制対象の取引所で行う」といった法的権限を活用する点にある。規制の緩い海外取引所から厳格な規制下にあるDCMへ市場を移すことで、米国投資家の保護強化や機関投資家の参入促進を図ろうという狙いだろう。

協議に詳しい情報筋は、暗号資産に深く関わりのあるDCMが迅速に市場参加するとの予想を述べている。コインデスクは主要なDCMとして、コインベースやBitnomial(ビットノミアル)などの米国を拠点とするプラットフォームの名前を挙げ、これらプラットフォームの市場参加の可能性を示唆した。

ファム氏はコインデスクへの声明の中で、「年内に当市場で取引開始が予想される新しい商品に期待しており、トランプ大統領が指名するCFTC常任委員長への円滑な移行を確実にするよう取り組んでいる」と述べた。

なお、CFTCの新委員長には、ドナルド・トランプ米大統領が指名したマイク・セリグ氏が就任する予定となっている。委員長交代後も、ファム氏の取り組みが継続して推進されていくかが今後の焦点となりそうだ。

任期の限られた立場にもかかわらず、ファム氏は組織運営や政策の刷新を積極的に推進している。同氏は来年初頭に「トークン化された担保」に関する新たな政策を発表する計画も示しているが、規制された取引所での個人向け現物暗号資産取引商品の提供を最優先課題として掲げている。

ファム氏の取り組みは、CFTCが現行法のもとでどこまで暗号資産市場を取り込めるかを試す試金石となる。規制の透明性と市場アクセスの拡大を両立できるかは、今後の米国暗号資産政策の方向性を占いそうだ。

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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