ビットコイン、2030年量子コンピューター脅威で存続危機──ソラナ創設者が早期対策求める

伊藤 将史
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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Solana(ソラナ)の共同創設者であるアナトリー・ヤコヴェンコ氏は19日、米サンフランシスコで開催された「All-In Summit」のパネルディスカッションにて、量子コンピュータの驚異的な発展速度に触れ、「ビットコインは早期に量子耐性のある署名方式に移行させるべきだ」と述べた。

5年以内に量子コンピュータにブレイクスルーが起こる可能性は50:50

インタビューの中で、量子コンピュータの現状と将来について問われたヤコヴェンコ氏は、「正直に答えると、5年以内に量子技術のブレークスルーが起こる可能性は50-50(フィフティーフィフティー)だと感じている」と発言。その背景として、AI技術の進化が他のテクノロジーの発展を驚異的な速度で加速させている点を挙げた。

技術的なブレークスルーが達成された場合、現在の暗号技術を破る可能性のある「ショアのアルゴリズム」の実行が現実味を帯びてくる。この脅威が現実となる前に、ネットワーク全体で対策を講じる必要性を強調した。

ヤコヴェンコ氏は、具体的な行動の指標として、巨大テクノロジー企業の動向を注視すべきだとし、「GoogleとAppleが量子耐性のある暗号スタックを採用することだ。それが移行すべき時だ」と述べ、コンシューマー向け技術の標準化が、仮想通貨業界が追随する一つのタイミングになるとの見方を示した。

その他、同ディスカッションでは、ヤコヴェンコ氏は自身が手がけるソラナの壮大なビジョンについても語っている。

同氏はソラナの最終目標を、「世界のあらゆる市場のための、単一の巨大な台帳、単一のコンピューターを想像している」と表現。競合するイーサリアムとの役割の違いについては、「イーサリアムが世界の決済レイヤーであるなら、ソラナは世界の実行レイヤーだ」と位置付け、金融取引の高速な「実行」を担うグローバルなインフラを目指すという野心を語った。

また、「仮想通貨は複雑すぎる」という一般的な意見に対しては「(仮想通貨業界や技術が変化するのではなく)実は、人間の脳がそれに適応するために変わらなければならない」とコメント。「新しい技術があるときはいつでも、人々がそれを受け入れ、精神的なモデルを構築するのに長い時間がかかるのです」と述べた。

量子コンピュータの発展が仮想通貨に与える脅威に関してはさまざまな議論があるが、影響力の大きいヤコヴェンコ氏の「5年以内」という発言は大きな注目を集めそうだ。

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2017年の仮想通貨ブームの頃に興味を持ち、以降Web3分野の記事の執筆をし続けているライター。特にブロックチェーンゲームとNFTに熱中しており、日々新たなプロダクトのリサーチに勤しんでいる。自著『GameFiの教科書』。
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