BTC市場が重大局面、反発か暴落か──プレミアム9カ月ぶりマイナス、実現損失は過去最大級

yukiko-endo
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クリプトクオント公式Xより引用
Highlights
  • 短期保有者の実現損失が1日663億円に急増、FTX崩壊期を上回る過去最大級のパニック売り
  • コインベースプレミアムは9カ月ぶりマイナス90ドル、機関投資家の一斉撤退で市場に緊張
  • ただし取引所から1.8万BTC純流出で準備金残高は過去最低、供給枯渇による急反発の可能性も

ビットコインは18日、約9カ月ぶりに90,000ドルを割り込み、一時は89,000ドル台前半まで下落した。市場は緊張が続いており、オンチェーン活動からも重要な局面を示すデータが複数確認できる。

コインベースプレミアムが9カ月ぶりのマイナス90ドルを記録

オンチェーン分析企業のクリプトクオントは18日、公式Xにて「コインベースプレミアムの減少が、機関投資家の慎重姿勢を示している」と指摘した。。

オンチェーン指標のコインベース・プレミアム・ギャップ(Coinbase Premium Gap)が直近でマイナス90ドルまで急落した。これほど強いネガティブギャップは、機関投資家がリスクオフ姿勢を強めていた2025年2月のマイナス138ドル以来となる。

一般的にプレミアムの数値が高いと機関投資家主導で買いが強い相場、低い時は個人投資家主導で比較的勢いに欠ける相場とされている。

プレミアムの数値が大きくマイナスに傾くと、市場はボラティリティに敏感な小口投資家の動きに左右されやすくなる。ネガティブなヘッドライン一つでパニック売りが重なり、より深い調整局面に入る可能性がある。逆にマクロ環境が改善すれば、相場が急反転する可能性もある。

取引所から1万8,298枚の純流出──供給面は改善の兆し

一方、オンチェーンデータからは取引所からの急速なビットコイン流出が確認できる。

ビットコイン取引所流出入フロー
1カ月半ぶりの大規模な流出を記録
出典:CryptoQuant(Exchange Netflow )

18日は、10月3日以来となる1万8,298枚の純流出を記録した。一般的に取引所からのビットコイン流出は、長期保有目的の投資家による外部ウォレットやカストディへの資産移動と考えられ、市場にとってポジティブな兆候と捉えられている。

また、11月に入りやや上昇傾向を見せていた取引所に保管されているビットコインの準備金残高が下落に転じ、過去最低水準に到達した。

ビットコイン取引所残高
過去最低水準を記録
出典:CryptoQuant(Exchange Reserve )

取引所のビットコイン準備金残高(Exchange Reserve)が上昇から下落に転じる局面は、歴史的に短期的なトレンド転換を示唆するケースが多い。今後も取引所残高の減少が続けば、ビットコインの供給枯渇により、買い優勢の展開になる可能性がある。

2022年11月以来の大規模な実現損失

オンチェーン分析企業のグラスノードは19日、公式Xにて「市場のパニック度合いが過去サイクルの大底水準を上回る勢いで高まっている」と指摘した。

最新データでは、短期保有者の実現損失(Realized Loss)の 7日移動平均(7D-EMA)が1日あたり4億2,700万ドル(約663億円) に到達した。これは2022年11月(FTX崩壊期)以来の最大の値となる。

この損失規模は、直近で発生した2回の主要な大底局面をすでに上回っており、パニック売りの強さが過去最大級に達していることを示している。一方で、市場ではこうした急激な実現損失の増加が「売りのピーク」を示すシグナルとして機能する場面も多い。

ただ、前回のサイクル終盤では、実現損失の大きな上昇が強気相場の終焉を示唆していることから、今後の更なる下落への警戒も必要な局面だ。

極端に低いコインベースプレミアムと短期保有者の実現損失の急拡大が、「反発の前兆」となるか「強気相場終焉のサイン」となるかは判断が難しい。今後もオンチェーンデータとマクロ環境の両面を注視し、相場の方向性を慎重に見極める必要がある。

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※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.42円)

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ブロックチェーン関連をメインに活動するウェブライター。家庭教師、高校教師を経て英会話スクールの運営に携わるが、2020年、コロナ禍をきっかけにライターに転身。これまでに十数件のメディア・仮想通貨系Youtubeチャンネルの運営に関わる。ファンダメンタル・テクニカル分析を得意とし、自身も仮想通貨トレードで資産運用中。特にブロックチェーンを活用した国際送金やトークン化事業(RWA)に強い関心を持つ。 保有資格:英検準1級
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