ビットコイン、短期調整も依然強気──長期保有者の需要と収益圏維持がカギ

ヤマダケイスケ
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7月に史上最高値を更新したビットコイン(BTC)だが、現在短期的な下落を見せており、一部の投資家の間では先行きに対する不安が広がっている。しかし、オンチェーンデータや市場構造に注目すると、ビットコインの基礎的な強さが依然として健在であるとの見方も少なくない。

需要は依然強く、価格回復の兆しも

テクニカルアナリストのDarkfost氏は3日、公式Xを更新。短期的な下落にもかかわらず、ビットコイン市場における需要動向を「強気」と評した。同氏は投稿内で、新規発行されたビットコインと1年以上動いていないビットコイン供給量を比較した指標である「Apprent Demand」を共有。これによると、過去30日間で市場には約16万BTCの蓄積が見られており、明確なプラスの需要が示されていると同氏は指摘する。

また、ビットコインを売却せずに蓄積し続けるアドレスを追跡した指標では、これらのアドレスにおけるビットコイン残高が過去1ヶ月で平均5万BTCも増加している点を指摘。ビットコインの強気な見方を崩さない投資家が主導する形で、依然として持続的な買い圧力が強く働いていることを示唆している。

さらに注目すべきは、OTC(店頭取引)デスクが保有するビットコイン量の減少だ。Darkfost氏によれば、2021年9月に約55万BTCであった残高が、現在わずか14万5,000 BTCにまで減少しているという。こうした市場状況を踏まえ、「短期・長期双方の需要が広くポジティブな状況が続いている」と同氏は強調している。

長期保有者は依然高収益も、短期的な売り圧には要警戒

オンチェーン分析プラットフォーム「CryptoQuant(クリプトクオント)」のコミュニティマネージャーであるabramchart氏は、長期保有者と短期保有者の収益状況に着目している。同氏は4日のコミュニティ内投稿にて、長期保有者によるビットコインのNUPL(純未実現利益/損益)指標が0.5以上を維持しており、確実な利益圏にあると指摘。高い収益を実現していながらも、依然として強気な保有を続けようという姿勢が感じ取れる。

ビットコインの価格と、短期および長期保有者ごとの純未実現損益(NUPL)の推移を示すグラフ。長期保有者は一貫して高い利益水準を維持し、短期保有者は価格変動に応じて利益・損失を繰り返している。
ビットコインの純未実現利益・損益(保有期間別) 出典:CryptoQuant

一方、短期保有者はわずかな利益や損失の狭間で推移。「価格の上昇時において売却圧力を生みやすい構造になっている」とabramchart氏は指摘する。長期保有者が全体的な強気の流れを牽引する中、同氏は短期的な売却圧力による価格調整に警戒するよう注意を促した。

ビットコインは短期的な下落を見せつつも、長期保有者が主導となって強い買い支えと蓄積傾向が続いている。彼らの動向やOTC市場での供給減少は、今後の短期的な価格回復に向けた土台になるかもしれない。短期的なボラティリティに注意を払いながら、今後のビットコイン価格動向の追跡や投資判断を行っていきたい。

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仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
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