ブラックロックやビザなどの大手金融機関が活用するレイヤー1ブロックチェーンAvalanche(アバランチ)の運営母体であるアバランチ財団が、米国で2つの暗号資産財務会社を設立し、総額約10億ドル(約1,470億円)の資金調達を目指していることがフィナンシャル・タイムズの報道より明らかになった。同財団は資本市場の主要デジタル台帳としての地位確立に向けた資金確保を図っている。
ハイブマインド・キャピタルとドラゴンフライ・キャピタルが主導
関係者によると、アバランチ財団は投資家との間で1つのデジタル資産財務会社の立ち上げと、既存企業の同分野への転換について最終段階の協議を進めている。両案件は今後数週間での合意締結を目指している。
第1弾として、ハイブマインド・キャピタルが主導する既存のナスダック上場企業への最大5億ドルのプライベート投資を計画。この案件には、暗号資産投資家で元ホワイトハウス報道官のアンソニー・スカラムーチ氏がアドバイザーとして参画し、月末までの最終合意を目指している。
第2弾は、ドラゴンフライ・キャピタルがスポンサーとなる特別目的買収会社(SPAC)を通じた最大5億ドルの資金調達で、10月までの合意を目指している。
割引価格でのAVAXトークン大量購入計画
調達資金は数百万枚のAVAX(アバランチの基軸トークン)購入に充当される。AVAXトークンはアバランチ財団から割引価格で提供される予定。AVAXの総供給量上限は7億2,000万枚で、現在約4億2,000万枚が流通している。
この動きは、暗号資産財務会社の株価が最近急落しているにもかかわらず進められており、株式や債券発行によりトークン購入資金を調達するビジネスモデルへの市場熱狂が収束しつつある兆候を示している。
機関投資家による実証実験が後押し
アバランチは、ブラックロック、アポロ、ウェリントン・アセット・マネジメントなどの投資会社がファンドのトークン化版を試行するブロックチェーンの一つとして注目されている。
カイコのデータによると、暗号資産備蓄計画企業は今年160億ドル超を調達しており、ビットコイン財務会社ストラテジーに触発されたモデルが拡大している。イーサリアムやソラナのブロックチェーン関連トークンが近月急騰する中、アバランチのトークンは競合の上昇から取り残されている状況だ。
アバランチ財団のような非営利組織は、教育や会議開催を通じて暗号ブロックチェーンとコミュニティを支援する役割を担っており、米国証券法を回避できる非営利組織として設立され、低税率管轄区域に拠点を置くのが一般的だ。