イーサリアム、7月の上昇率48.77%を記録──2022年7月以来最大に

ヤマダケイスケ
12 Min Read

技術・需給両面の好材料が価格上昇を後押し

イーサリアム(ETH)は7月、48.77%の月間上昇率を記録したことで市場関係者の注目を集めている。この上昇率は2022年7月の56.62%に次ぐ水準となっており、ここ数カ月間の低迷を抜け出す大きな転換点となる可能性がある。

イーサリアムの月間上昇率
イーサリアムの月間上昇率 出典:CoinGlass

今年に入ってからのイーサリアムは、4ヶ月間連続でマイナスリターンを記録する厳しい展開が続いていた。特に2月には、仮想通貨取引所「Bybit(バイビット)」が大規模なハッキング被害を受け、約15億ドル相当(当時換算:約2,289億円)のイーサリアムが流出している。この一件の影響もあり、同月のリターンは-31.95%を記録。市場では先行きに対する不透明感が強まり、買い手の足取りが鈍る結果となった。

しかし5月以降、状況は好転する。同月には大型アップグレード「Pectra(ペクトラ)」が実装され、イーサリアムネットワークの処理能力やセキュリティ強化等の技術的革新が図られた。また、機関投資家によるイーサリアムETF(上場投資信託)への資金流入が徐々に増加。こうした要因が投資家心理を買いに傾けた可能性が考えられる。

7月に入ると、企業によるイーサリアム財務戦略の動きが活発化。8日には、米エンターテイメント企業「GameSquare Holdings, Inc.(ゲームスクエア)」が最大1億ドル(約150億円)のイーサリアム財務戦略を発表。21日には、3,000万ドル相当(約45億円)のイーサリアムを取得し、最大取得額を1億ドルから2億5,000万ドル(約377億円)まで引き上げたことが明らかとなった。

さらに29日には、米ナスダック上場企業「SharpLink Gaming(シャープリンク)」が77,209.58 ETHの追加購入を発表し、イーサリアムへの企業投資を一段と加速させた。こうした各企業の動きはイーサリアムの需要を高め、買い圧力を下支えする要因のひとつとなっている。

また、テクニカル面でもイーサリアムは重要な節目を突破したことが市場で好感された。7月には年内で意識されていたレジスタンスである2,800ドルラインを明確に上抜け、執筆時点では3,720ドルで推移。次の節目として意識される4,000ドル手前で価格が足踏みしている状況だ。

イーサリアムの価格推移
出典:TradingView

4,000ドルの水準を超えることができれば、2021年11月につけた過去最高値の更新も視野に入ってくる。とはいえ、価格がすでに伸びきっているとも捉えられるため、調整下落のリスクには注意が必要だ。いずれにしても、8月に月間上昇率をプラスで終えられるかは、直上のレジスタンス突破がキーポイントになるだろう。

一連の上昇要因が重なったことで、イーサリアム市場には再び強気ムードが広がっている。今後、技術的進化や制度的整備、そして企業の長期的な資産戦略としての需要がさらに加速するかは、価格の持続的な上昇に直結してくる要因となるだろう。これからのイーサリアムがどんな展開を見せていくのか、市場からの注目が集まる。

関連:Bybitのハッキング事件とは?原因とその影響を解説【2,200億円相当のイーサリアム流出】
関連:米ゲームスクエア、1億ドルのイーサリアム財務戦略を発表—800万ドル調達で8-14%高利回り狙う
関連:米シャープリンク、イーサリアムを追加購入──総保有量は43万ETHに到達

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=150.61円)

仮想通貨の最新情報を逃さない!GoogleニュースでJinaCoinをフォロー!

Share This Article
仮想通貨やBCGをメインに執筆活動を行うWebライター。2021年、ビットコインの大幅な値上がりに興味を持ち、仮想通貨の世界に参入。Binance、Bybitをメインに現物取引やステーキングサービスを活用し、資産運用を進めている。
コメントはまだありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA

厳選・注目記事

YouTube