接続性クラウドサービスを展開する米企業「Cloudflare(クラウドフレア)」(NYSE:NET)は25日、米ドルに裏付けられたステーブルコイン「NET Dollar(ネット・ダラー)」の導入計画を発表した。AIの普及で自律型エージェントがネット上の取引を担う時代を見据え、即時かつ安全で国境を越えた決済を可能にする仕組みを整え、次世代インターネットのビジネスモデルを支える狙いだ。
新たなインターネット経済の基盤構築を目指す
近年、AIが人とインターネットとの関わり方を大きく変えつつある。従来は利用者自身が操作していた予約や買い物、スケジュール管理などを、自律的に行動するAIエージェントに任せるケースが増えている。こうした変化に伴い、決済システムも進化が求められている。
そこで注目されるのがネット・ダラーだ。米ドルを担保とするステーブルコインであり、クラウドフレアのグローバルネットワークを基盤に、即時かつ安全で世界中どこでも利用可能な決済を実現することを目的としている。従来の金融システムと併用する形で、スピードと信頼性、相互運用性を備えた「インターネットネイティブ」な支払い手段になると同社は位置付ける。
想定される活用例としては、通貨や地域、タイムゾーンの違いを越えた透明性のある取引の実現、AIエージェントによる航空券購入や商品の自動注文、企業間での納品確認後の即時決済などがある。
クラウドフレアの共同創業者兼CEOであるマシュー・プリンス氏は、「長年インターネットのビジネスモデルは広告や銀行振込に依存してきたが、今後は少額決済や従量課金、マイクロトランザクションが中心になる」と述べた。同氏によれば、この仕組みによって、オリジナルかつ価値あるコンテンツやサービスが正当に評価され、創造性を持続的に支えることができるという。
ネット・ダラーは、単なるステーブルコインにとどまらず、AI主導のインターネットでの利用を前提に設計された点が特徴だ。マイクロペイメントや自動化取引が現実のものとなれば、既存の広告依存型経済からの脱却に道を開く可能性がある。今後は、規制環境や既存金融システムとの接続性、そして実際の利用事例がどのように広がるかが焦点となるだろう。
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