ビットコイン(BTC)は10日、前日比+1.82%の上昇を記録し、日足を実体ベースで113,000ドルを上抜けた。執筆時点での価格は113,866ドルで推移しており、小幅ながら堅調な値動きを見せている。今回の上昇の要因として注目されたのが、同日に発表された8月の米生産者物価指数(PPI)だ。

アルトコイン市場も反応、次の焦点はCPIへ
発表によると、8月のPPIは前月比-0.1%と4月以来4カ月ぶりのマイナスを記録。とりわけ最終需要向けサービス価格が下落しており、機械・車両の卸売マージンが3.9%低下したことが大きく影響した。一方、PPIの前年比は+2.6%とプラスを維持したものの、前月の+3.1%から伸び率は鈍化している。この結果を受け、市場では9月の利下げ観測が一段と強まっている。
ビットコインのみならず、アルトコイン市場にもこうした動きが波及している。イーサリアム(ETH)は前日比+0.89%と小幅な上昇にとどまったが、ソラナ(SOL)は+3.08%と相対的に堅調な動きを見せた。利下げ期待の強まりによるリスクオンムードが市場に広がったことで、アルトコインにも選別的に資金流入が続いている状況だ。
米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が提供する政策金利予測ツール「FedWatch(フェドウォッチ)」によると、市場は9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げが実施される可能性を織り込んでいる。0.5%の大幅利下げを見込む声も残されているが、全体として利下げがほぼ確実視されている状況だ。

市場の次の焦点は、本日発表される8月の消費者物価指数(CPI)だ。予想通りの結果となれば利下げ観測が継続する可能性があるが、反対にインフレ圧力が予想以上に強まれば、利下げ期待に水を差す展開も考えられる。
ビットコインをはじめとする仮想通貨は、金融政策の先行きにも強く影響されやすい。利下げ期待が価格上昇の追い風となる一方で、米経済の減速懸念が強まればリスク回避の動きに転じる可能性もある。今後のCPIやFOMCの判断は、仮想通貨市場の方向感を決定づける分岐点になりそうだ。
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