「株式会社メタプラネット」(証券コード:3350)の代表取締役であるサイモン・ゲロヴィッチ氏は18日、同社の株価が急落している点について公式Xで言及した。同氏は投稿内で今回の下落が意図したものではないとしたうえで、「公募増資で得た株式を使って空売りを相殺することは違法である」と投資家に注意を促した。
日本市場の特異なルール、複数要因が株価に影響か
今回のゲロヴィッチ氏の投稿は、メタプラネットが17日に公開した「海外公募および第20回から第22回新株予約権」に関するQ&Aをめぐり、SNS上で追加の質問が寄せられたことを受けたものだ。この中で、「最初の公募発表から発行価格決定までの空白期間が、空売り投資家による株価下落を助長したのではないか」という疑問が投げかけられた。
これに対してゲロヴィッチ氏は、株価下落の要因は違法な空売りカバー行為ではないとの見方を示した。さらに、「日本市場には他の市場と異なるルールやタイムラインがある」とし、この特殊な環境が株価下落を助長した可能性があると指摘。取引規模の不確実性や収益と株式数の混乱、市場センチメントなど、複数の要因が絡み合った可能性があると同氏は分析している。
また質問の中では、mNAV(市場純資産価値)が1倍を下回る状況が続いた際の対応についても問われている。ゲロヴィッチ氏は仮にmNAVが1倍を下回った場合、株式売却は行わないと強調。必要に応じて優先株発行や自社株買いなどを検討し、どのような市場状況においても株主価値を向上させるという姿勢を示した。
執筆時点でのメタプラネットの株価は、前日比+10.75%と小幅な上昇を見せている。しかし、6月からの急落の波はなおも継続しており、市場心理は依然として冷え込んでいるままのようだ。

今回のゲロヴィッチ氏の発言は、経営側が株主価値を守る姿勢を明確に打ち出した点で一定の安心材料となり得る。しかし、根本的な市場環境の改善や投資家心理の回復には時間がかかる可能性がある。同氏の発言効果が実際の株価や投資行動にどこまで波及するかが今後の注目点となりそうだ。
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