イーサリアム(ETH)は26日、FOMCによる利下げの発表以来、約1週間の強い調整にさらされている。その背景には、利下げ確定からの材料出尽くし感と、米国の不安定な情勢が関係していると見られている。ただ、他のアルトコイン銘柄に比べて下げ幅は限定的で、重要な価格帯を維持できれば反発も期待できる。
米国政府閉鎖への懸念が高まりETHが一時3,822ドルまで下落するも、目下は底堅い動き

ETHは26日、現在米国で懸念されている政府封鎖への懸念から、リスク回避の売り注文が続き一時3,822ドルまで下落。利下げ発表直後の高値4,767ドルから19.83%の安値となり、大きな調整局面を迎えている。

分散型ベッティングプラットフォーム「Polymarket(ポリマーケット)」によると10月1日までに米国政府が閉鎖される確率は69%と見込まれており、予算案が無事決議されるまでは予断を許さない状況だ。

ただ、過去に強い抵抗帯となっていた3800ドルから3900ドルの価格帯がサポートとなり、直近の値動きは底堅い。ここで底固めができれば反転も期待できるが、サポートを明確に割れるとトレンド崩壊と市場が認識し、暴落につながる恐れもある。
FOMCによる利下げがほぼ織り込まれていたため材料出尽くし感もあり、今後も警戒が必要だ。
活発なオンチェーン活動が底堅さをサポートも
9月18日の高値からソラナ(SOL)が約25%、ハイパーリキッドの独自トークンHYPEが約34%と、アルトコイン強気相場で急騰した銘柄が大きな調整を迎える中、ETHは若干小幅な下落にとどまっているが、その要因の一つがオンチェーン活動の活性化だ。
仮想通貨メディアU°TODAYによると20日、イーサリアムエコシステム内で行われた取引件数が24時間で2,700万件を超え、史上最高記録を樹立した。これはイギリスやドイツの人気決済アプリを上回る数字。
この背景としてはDefiや資産のトークン化(RWA)など、ブロックチェーン活動拡大の影響が考えられる。ネットワークの活性化によるETHの需要増は、ETHの価格下落を和らげた要因の一つと言えるだろう。
大量のショート清算が控える4,200ドルの価格帯が直近の抵抗ライン

ETHの清算ヒートマップを見ると、4,200ドルから4,250ドルの間に大量のショートポジションが確認できる。多くの場合この価格帯は抵抗帯として機能するが、逆に明確な上抜けに成功すれば、大量のロスカットを巻き込んで大きな価格上昇につながる可能性もある。
現在の価格帯で底固めが確認されれば4,200ドルの抵抗へ向けてトライする可能性が高く、ここを突破できるかどうかが強気相場継続のカギになるだろう。
219万ETHがステーキング解除待ちで警戒感も、取引所の供給量は最低水準

ETHネットワークでは、219万ETH(約86億1900万ドル相当)という大量のステーキング解除申請が行われているため、処理が追いつかずに待機状態となっている。待機期間は残り約38日、つまり11月上旬にはアンステーキングされた大量のETHが出回ることになるため、市場は強烈な売り圧に警戒感を示している。

一方、中央集権取引所からコールドウォレットやステーキングに転送されるETHが急増したため、供給量が2022年以来最低水準に。一般的に取引所の供給量低下は売り圧減少につながる。アンステーキングによる売り圧増加も、供給減少でバランスが取れれば大きなボラティリティを避けられる可能性もあるだろう。
今後の展望としては、短期的には米国政府閉鎖がすでに約7割織り込まれているため、問題が解消されると一時的な反発が期待できる。しかし長期的にはポジティブとネガティブが交錯しており、今後の展開が非常に読みにくい状況だ。再び強気相場に転換するためには、さらなる利下げや仮想通貨法案関連の進展など、大きな好材料が必要かもしれない。
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